〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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心地よい風に吹かれうっとりしていたら、世にも奇妙な歌が聞こえてきた。こんな詞だ。
風の狭間 空の麓
月の道昇り 踊る時間
蒼い星は闇に……
未だ続いている様だったが、どこか不安を覚えさせる歌詞、童歌にも似た寂しげな響き、そして何より、綺麗に澄んだ伸びやかな、それでいて風に紛れそうな声に惹かれて、僕は歌の発信源を探した。
ペンションの前に広がる草原。月光に葉裏を白く鋭く照らされながら、ざわざわと揺れている。その遥か遠くには闇に閉ざされた森が黒く、不気味に波打っている。
天空には月――白と、黄色の光を放つ月が昇っていた。
人の姿は無い。だが、歌は未だ流れ続けていた。このペンションには何組か泊まっていたから、その中の誰かかも知れない。
月を追い越し 紅い星へ
紅い星を殺したら 今度向かうはいずこやら
終わるかと思われた歌はまた繰り返され始めた。だから僕はペンションの階段を降り、月光照らす草原へ、声の発生源を求めた。此処からでは建物の裏は見渡せない。
蒼い星? 紅い星?――風に吹かれながら、僕は天を見上げる。そこには一面の星が瞬いている。だが、肉眼で色が確認出来る様な星は無い。月を除いては。
それに星を殺すって? そんな事、出来る訳がない。
僕はペンションの裏手に回った。するとやはり、そこに居た。女性だ。
月のライトを受け、長い髪を風になびかせ、歌っている。
蒼い星は闇に……
僕はまた天を見る。やはり蒼い星なんて無い。
女性は僕に気付いたのか、はたと歌を止めた。口を押さえる様にして立ち竦む様は、ごく普通の女性。不安や不気味なものとは無縁の。だから僕は穏やかに声を掛けた。
「やぁ、今の……何て歌?」
「名前は知らないんです。あの、ごめんなさい。余りにいい月夜だったもので、お散歩に出てる内に口遊んでしまって……」頻りに恐縮する彼女。「お休みのお邪魔だったのでは……?」
「いえ、綺麗な声で……。でも、変わった歌ですね」
「古い歌らしいですけれどね。祖母から教わったんです。その祖母も更に曾祖母から教わったと言ってました」
「それはまた随分、年代物の歌だ」僕は笑った。彼女も。
白と、黄色。二つの月の下で。
そんな僕等が知らない程昔に、地球という蒼い星が気の遠くなる様な時間を経て培った自然を破壊し、挙げ句にかつて火星と呼ばれた紅い星を改造して移り住んだのが僕等の祖先だと、その後、知った。
紅い星を殺したら 今度向かうはいずこやら……
―了―
SF?
まぁ、実際にテラフォーミングが実現可能かは置いといて(苦笑)
蒼い星は大事にしましょう!
月の道昇り 踊る時間
蒼い星は闇に……
未だ続いている様だったが、どこか不安を覚えさせる歌詞、童歌にも似た寂しげな響き、そして何より、綺麗に澄んだ伸びやかな、それでいて風に紛れそうな声に惹かれて、僕は歌の発信源を探した。
ペンションの前に広がる草原。月光に葉裏を白く鋭く照らされながら、ざわざわと揺れている。その遥か遠くには闇に閉ざされた森が黒く、不気味に波打っている。
天空には月――白と、黄色の光を放つ月が昇っていた。
人の姿は無い。だが、歌は未だ流れ続けていた。このペンションには何組か泊まっていたから、その中の誰かかも知れない。
月を追い越し 紅い星へ
紅い星を殺したら 今度向かうはいずこやら
終わるかと思われた歌はまた繰り返され始めた。だから僕はペンションの階段を降り、月光照らす草原へ、声の発生源を求めた。此処からでは建物の裏は見渡せない。
蒼い星? 紅い星?――風に吹かれながら、僕は天を見上げる。そこには一面の星が瞬いている。だが、肉眼で色が確認出来る様な星は無い。月を除いては。
それに星を殺すって? そんな事、出来る訳がない。
僕はペンションの裏手に回った。するとやはり、そこに居た。女性だ。
月のライトを受け、長い髪を風になびかせ、歌っている。
蒼い星は闇に……
僕はまた天を見る。やはり蒼い星なんて無い。
女性は僕に気付いたのか、はたと歌を止めた。口を押さえる様にして立ち竦む様は、ごく普通の女性。不安や不気味なものとは無縁の。だから僕は穏やかに声を掛けた。
「やぁ、今の……何て歌?」
「名前は知らないんです。あの、ごめんなさい。余りにいい月夜だったもので、お散歩に出てる内に口遊んでしまって……」頻りに恐縮する彼女。「お休みのお邪魔だったのでは……?」
「いえ、綺麗な声で……。でも、変わった歌ですね」
「古い歌らしいですけれどね。祖母から教わったんです。その祖母も更に曾祖母から教わったと言ってました」
「それはまた随分、年代物の歌だ」僕は笑った。彼女も。
白と、黄色。二つの月の下で。
そんな僕等が知らない程昔に、地球という蒼い星が気の遠くなる様な時間を経て培った自然を破壊し、挙げ句にかつて火星と呼ばれた紅い星を改造して移り住んだのが僕等の祖先だと、その後、知った。
紅い星を殺したら 今度向かうはいずこやら……
―了―
SF?
まぁ、実際にテラフォーミングが実現可能かは置いといて(苦笑)
蒼い星は大事にしましょう!
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Re:そーですねー
どう突っ込めば……(^^;)
Re:無題
まぁ、移住したくはないですよね(^^;)
技術開発より前に地球の汚染が進む可能性も……?
技術開発より前に地球の汚染が進む可能性も……?
Re:こんばんは♪
なりそうなならなさそうな、ならないといいな~、な話(^^;)
歌の節は適当に想像して下さい(笑)
歌の節は適当に想像して下さい(笑)
Re:無題
ごめんなさ~い! こんな時間迄PCで遊んでま~す!(^^;)
オヤスミナサイ☆
オヤスミナサイ☆
Re:ほ~
有難う(^^)
歌詞を考えてたらこんな話に……☆
歌詞を考えてたらこんな話に……☆
こんにちは
しゃれにならないよなぁ。
ホントに地球を大切にしなきゃねぇ。
地球の寿命は、思っているより短いと思う今日この頃。
火星って、赤いから火星って呼ばれてるけど、実は氷の惑星なんだよね、表面温度が低いから赤く見えるって。
火星なら住めるかもしれないけど、他の星は微妙だよなぁ。
人が住みようになると赤くは見えなくなるんだろうけどね。
ホントに地球を大切にしなきゃねぇ。
地球の寿命は、思っているより短いと思う今日この頃。
火星って、赤いから火星って呼ばれてるけど、実は氷の惑星なんだよね、表面温度が低いから赤く見えるって。
火星なら住めるかもしれないけど、他の星は微妙だよなぁ。
人が住みようになると赤くは見えなくなるんだろうけどね。
Re:こんにちは
テラフォーミングしたら今度は火星が「蒼い星」になるんだろうな~。
他の星は先ず無理でしょうねぇ。太陽に近過ぎたり、ガス惑星だったり……。地球って本当に奇跡だと思う。
他の星は先ず無理でしょうねぇ。太陽に近過ぎたり、ガス惑星だったり……。地球って本当に奇跡だと思う。
Re:地球へ…
公害が問題になり出した頃から、いずれ地球が住めなくなったら……的フィクションも現れ出した様な。フィクションでいる内はいいですけれどね~☆
Re:無題
そうですね!
まぁ、元々地球環境は永い年月を掛けて大陸プレートが移動したり、海が山地になったり、ダイナミックな変動を経て来てはいるだけに、何処迄が人間の仕業なのか、判らない所もありますが……解っていながら悪化させるのだけは止めたい所ですね。
まぁ、元々地球環境は永い年月を掛けて大陸プレートが移動したり、海が山地になったり、ダイナミックな変動を経て来てはいるだけに、何処迄が人間の仕業なのか、判らない所もありますが……解っていながら悪化させるのだけは止めたい所ですね。
Re:無題
moonさん、聖子ちゃんファンですもんね♪
土星……やっぱりあのリングですか? ウリは(笑)
何であんな氷や塵の塊が整然とリングを成しているんだろう? 謎な惑星。
でも月(衛星)が一杯ですよ~。次々昇って来ちゃいます(笑)
土星……やっぱりあのリングですか? ウリは(笑)
何であんな氷や塵の塊が整然とリングを成しているんだろう? 謎な惑星。
でも月(衛星)が一杯ですよ~。次々昇って来ちゃいます(笑)