『追跡者』

　まだ追ってくる。どこまで逃げてもついてくる。息が切れて、苦しい。

『絵本の館』

　夜の森に迷った旅人は、とある館に行き着いた。窓に、ぽっと明かりが灯っている。

『地下鉄道』

　降りる駅を間違えた。そう気が付いた時、もう列車はホームを離れていた。

『朧月』

　朧月がきれいな夜だった。あなたも覚えているでしょう。二人で井戸の底から見上げたね。

『予約席』

　初めての店に入るのには、ちょっと勇気がいる。況して、その扉にこんなことが書いてあったなら。

「不思議の物語」のカテゴリーについて

　こちらのカテゴリーはヨミティで募集中の「有栖川有栖さんとつくる不思議の物語」（blog.yomity.net/alices_wonder/）にて出されたお題からの創作になります。因みに「つづきをよむ」を開く前の文がそのお題となっております。
　生憎とそちらに応募するには年齢制限が（泣）
　順不同、季節感無視になるかと思いますが、纏めてみたいと思います。いずれも基本的に小品ですので、お暇な時にどうぞ。