〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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「そっちに行っちゃ駄目!」私はふらふらと崖に近付こうとした妹を、慌てて制止した。
はっと、我に返った様子で振り向いた妹は、ああ、まただ、と溜息をついた。
何故だか、呼ばれた気がして、行ってしまう。
その先は切り立った崖だったり、海だったり、ビルの屋上のフェンスだったり……。それが危険だと、頭では理解しているのに、行かなきゃ、という思いに支配されてしまう。
幼い頃からの、妹の悩みだった。
霊媒体質とでも言うのだろうか。
妹はそういったものと関わり易い――特に、呼ばれ易い。
寂しさから仲間を求めるのか、新たな魂を取り込む事で力を増そうというのか、それらは時に、妹の様にその声を聞いてしまう者を、誘い込もうとする。
声が聞こえるだけなら無視すればいいとも言えるけれど、妹の場合は直ぐにその意思を半ば奪われてしまう。ぼうっとしている間に、危険な場所へと足を踏み入れてしまうのだ。
だから、私が見ていてあげなければならない。
常に。どんな時も。
一生涯……は無理だけれど。
だって、私の生涯は既に閉じてしまったのだから。
二年前のあの日、誘い出される様に車道に飛び出した妹を突き飛ばし、代わりに撥ねられたのは、私。
だから……私以外の誰かに呼ばれて行くなんて、許さないわ……。
妹を呼んだモノを次々と吸収し、力が増大するのを感じながら、私は考える。
いつ、その名を呼ぼうか……?
―了―
怪しい人、妖しいモノに呼ばれても、付いて行っちゃ駄目ですよー(・0・)
はっと、我に返った様子で振り向いた妹は、ああ、まただ、と溜息をついた。
何故だか、呼ばれた気がして、行ってしまう。
その先は切り立った崖だったり、海だったり、ビルの屋上のフェンスだったり……。それが危険だと、頭では理解しているのに、行かなきゃ、という思いに支配されてしまう。
幼い頃からの、妹の悩みだった。
霊媒体質とでも言うのだろうか。
妹はそういったものと関わり易い――特に、呼ばれ易い。
寂しさから仲間を求めるのか、新たな魂を取り込む事で力を増そうというのか、それらは時に、妹の様にその声を聞いてしまう者を、誘い込もうとする。
声が聞こえるだけなら無視すればいいとも言えるけれど、妹の場合は直ぐにその意思を半ば奪われてしまう。ぼうっとしている間に、危険な場所へと足を踏み入れてしまうのだ。
だから、私が見ていてあげなければならない。
常に。どんな時も。
一生涯……は無理だけれど。
だって、私の生涯は既に閉じてしまったのだから。
二年前のあの日、誘い出される様に車道に飛び出した妹を突き飛ばし、代わりに撥ねられたのは、私。
だから……私以外の誰かに呼ばれて行くなんて、許さないわ……。
妹を呼んだモノを次々と吸収し、力が増大するのを感じながら、私は考える。
いつ、その名を呼ぼうか……?
―了―
怪しい人、妖しいモノに呼ばれても、付いて行っちゃ駄目ですよー(・0・)
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