〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin
Link
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
カリ……カリカリ……。
今夜も天井裏から、音が聞こえる。もう何日も続く、あの音が。
* * *
越して来たばかりで、乱雑ながらも殺風景な、そして初めての俺一人の部屋にそれは夜毎流れていた。引っ掻く様な、かじる様な音。
「鼠でも居るんじゃないの?」そう言って眉を顰めた彼女は、以来何かと理由を付けて、来なくなった。
派手で自堕落だった母への反発が捨てられない俺が選んだその娘は、几帳面で、いつもこざっぱりとした服装。そしてやや潔癖症だった。
「鼠? これ迄そんな苦情は来た事がない。不衛生にしてるんじゃないですか? 困りますよ」そう言って、俺を疑わしげに見た大家は、しかし駆除業者に依頼してはくれた。痕を残されては困るからだろう。
「鼠の痕跡は見つかりませんでしたよ」天井裏を這い回った挙げ句に、そう報告した業者は、しかし一つ気になる事が……と声を潜めた。
軍手をはめた掌に載せた何か小さな物を、当惑顔で差し出す。立ち会った大家と共に覗き込むと、薄汚れた軍手には不釣り合いなカラフルな色彩。
……爪、だった。
念入りに彩色を施された、しかし付け爪などではない本物の、人の……多分、女の爪。
俺はすぐに、部屋を引き払った。
逃げなければ……その一心で。
何故ならそれは、俺を金づるとしか見ない、派手で自堕落な母の爪……。金絡みの諍いから意識不明の重体に陥りつつも、俺を追って来る、その女の証だったから。
カリ……カリカリ……。
今夜も天井裏から、音が聞こえる。
幾度転居してもついて来る、あの音が……。
―了―
夜、髪洗いながら考えたネタ投下~(・_・)
携帯にメモって書いたから記号が変かも!?
今夜も天井裏から、音が聞こえる。もう何日も続く、あの音が。
* * *
越して来たばかりで、乱雑ながらも殺風景な、そして初めての俺一人の部屋にそれは夜毎流れていた。引っ掻く様な、かじる様な音。
「鼠でも居るんじゃないの?」そう言って眉を顰めた彼女は、以来何かと理由を付けて、来なくなった。
派手で自堕落だった母への反発が捨てられない俺が選んだその娘は、几帳面で、いつもこざっぱりとした服装。そしてやや潔癖症だった。
「鼠? これ迄そんな苦情は来た事がない。不衛生にしてるんじゃないですか? 困りますよ」そう言って、俺を疑わしげに見た大家は、しかし駆除業者に依頼してはくれた。痕を残されては困るからだろう。
「鼠の痕跡は見つかりませんでしたよ」天井裏を這い回った挙げ句に、そう報告した業者は、しかし一つ気になる事が……と声を潜めた。
軍手をはめた掌に載せた何か小さな物を、当惑顔で差し出す。立ち会った大家と共に覗き込むと、薄汚れた軍手には不釣り合いなカラフルな色彩。
……爪、だった。
念入りに彩色を施された、しかし付け爪などではない本物の、人の……多分、女の爪。
俺はすぐに、部屋を引き払った。
逃げなければ……その一心で。
何故ならそれは、俺を金づるとしか見ない、派手で自堕落な母の爪……。金絡みの諍いから意識不明の重体に陥りつつも、俺を追って来る、その女の証だったから。
カリ……カリカリ……。
今夜も天井裏から、音が聞こえる。
幾度転居してもついて来る、あの音が……。
―了―
夜、髪洗いながら考えたネタ投下~(・_・)
携帯にメモって書いたから記号が変かも!?
PR
この記事にコメントする
Re:こんばんは
死んではいませんので……生霊さん(^^;)
Re:無題
何となくおかしな所から、来てみる(笑)