〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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指に糸が絡む。
そう、これは糸――只の、黒い、糸。
強張った手に、指に、無数の糸が絡む。
丸で逃さない、とでも言うかの様に。
しなやかな、それでいて強靭な、糸の群れ。
纏めて引き千切ろうとしたがそれも果たせず、絡む糸に細やかな動きを奪われながらも、少しずつ、それらを外していく。何本も、何十本も……。
着実に外している筈なのに、ちっとも減った気はしない。
寧ろより強く絡み付いてくる気さえ……。
馬鹿な、と私は頭を振った。
これは糸――只の、黒い、糸なのだ。
ああ、それにしても、この忌まわしい糸の先で、私を見上げているのは……?
どこかで……見た……顔……?
「!!」私は声にならぬ悲鳴を上げて、飛び起きた。
夢だった、という安堵感と、何故今更あんな夢をという疲労感がどっと、湧き上る。
その私の首に、微かな、それでいて確かな感触。煩わしく絡む、細くて長い……。
理由すらも忘れた程の昔、首を絞めて殺めてしまった女の、長い黒髪にも似た――黒い、糸。
逃さない……。
…………逃れられない。
―了―
短めに行ってみよう!
そう、これは糸――只の、黒い、糸。
強張った手に、指に、無数の糸が絡む。
丸で逃さない、とでも言うかの様に。
しなやかな、それでいて強靭な、糸の群れ。
纏めて引き千切ろうとしたがそれも果たせず、絡む糸に細やかな動きを奪われながらも、少しずつ、それらを外していく。何本も、何十本も……。
着実に外している筈なのに、ちっとも減った気はしない。
寧ろより強く絡み付いてくる気さえ……。
馬鹿な、と私は頭を振った。
これは糸――只の、黒い、糸なのだ。
ああ、それにしても、この忌まわしい糸の先で、私を見上げているのは……?
どこかで……見た……顔……?
「!!」私は声にならぬ悲鳴を上げて、飛び起きた。
夢だった、という安堵感と、何故今更あんな夢をという疲労感がどっと、湧き上る。
その私の首に、微かな、それでいて確かな感触。煩わしく絡む、細くて長い……。
理由すらも忘れた程の昔、首を絞めて殺めてしまった女の、長い黒髪にも似た――黒い、糸。
逃さない……。
…………逃れられない。
―了―
短めに行ってみよう!
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