〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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「あらあら、駄目よ、沙耶ちゃん。お人形をそんなに乱暴に扱っちゃ」
「だってお人形は痛がらないもん」やや大きめの抱き人形の髪を掴んで引き摺りながら、沙耶と呼ばれた女の子は言った。
「んん……確かにお人形は『痛い』とは言わないけどねぇ」エプロンを着けた保育士は困り顔にそれでも柔らかな笑みを浮かべた。「沙耶ちゃんだって、髪を引っ張られたら痛いでしょ?」
「先生、お人形には『シンケー』が無いんだよ? だから痛くないんだって、ママが言ってたよ?」意味がどこ迄解っているのか、それでも一丁前に沙耶は言った。
保育士は尚困った顔になり、言葉を探す。確かに人形に痛みを感じる神経はないし、その刺激を感じ取る脳も無い。そして痛みを訴える声帯も持たない。
その筈なのだが……。
どうして自分にだけ、聞こえるのだろう?――保育士は首を捻る――「痛い!」と言う、受け持ちの子供達の誰のものでもない声が。
沙耶の手に下げられた、人形から……。
そして、何故自分はそれを普通の事と受け止めているのだろう?
何より……何故、こんなに沙耶が憎いのだろう……?
その小さな手から乱暴に人形を奪い取りたい衝動を懸命に抑えつつ、彼女はどうにか言葉で、人形を解放させた。
その翌日、保育士が一人、失踪した。人形と共に。
先日手違いで寄付してしまったと、元の人形の持ち主の息子が訪ねて来るのと相前後して。
「あの人形は先日亡くなった母の物だったのですが……決して人には譲らずに、一緒に棺に入れてくれと頼まれていたのに……」悔やむ様に、彼は唸った。「あれは……あれには幼い頃に亡くなった伯母の魂が入っていると、母はよく言っていました」
結局、保育士と人形の行方は、未だ知れない。
―了―
うむ。イマイチだ(←おい)
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「だってお人形は痛がらないもん」やや大きめの抱き人形の髪を掴んで引き摺りながら、沙耶と呼ばれた女の子は言った。
「んん……確かにお人形は『痛い』とは言わないけどねぇ」エプロンを着けた保育士は困り顔にそれでも柔らかな笑みを浮かべた。「沙耶ちゃんだって、髪を引っ張られたら痛いでしょ?」
「先生、お人形には『シンケー』が無いんだよ? だから痛くないんだって、ママが言ってたよ?」意味がどこ迄解っているのか、それでも一丁前に沙耶は言った。
保育士は尚困った顔になり、言葉を探す。確かに人形に痛みを感じる神経はないし、その刺激を感じ取る脳も無い。そして痛みを訴える声帯も持たない。
その筈なのだが……。
どうして自分にだけ、聞こえるのだろう?――保育士は首を捻る――「痛い!」と言う、受け持ちの子供達の誰のものでもない声が。
沙耶の手に下げられた、人形から……。
そして、何故自分はそれを普通の事と受け止めているのだろう?
何より……何故、こんなに沙耶が憎いのだろう……?
その小さな手から乱暴に人形を奪い取りたい衝動を懸命に抑えつつ、彼女はどうにか言葉で、人形を解放させた。
その翌日、保育士が一人、失踪した。人形と共に。
先日手違いで寄付してしまったと、元の人形の持ち主の息子が訪ねて来るのと相前後して。
「あの人形は先日亡くなった母の物だったのですが……決して人には譲らずに、一緒に棺に入れてくれと頼まれていたのに……」悔やむ様に、彼は唸った。「あれは……あれには幼い頃に亡くなった伯母の魂が入っていると、母はよく言っていました」
結局、保育士と人形の行方は、未だ知れない。
―了―
うむ。イマイチだ(←おい)