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「ごめん! 日直で遅くなっちゃった!」
部室のドアを開けて駆け込んで来たその声に、しかし応える者は居なかった。
あれ?――肩を上下させつつ息を整えながら、美和は室内を見回した。
今日は水曜日。いまいちやる気が無いと評判の新聞部の、辛うじて全員参加の定例会の筈だった。だからこうして急いで来た訳だが……。
ドアの正面にサッシ窓、左右をキャビネットに囲まれた部室には、彼女以外人っ子一人、居なかった。
途惑いながら腕時計を見るが、やはりもう開始予定時間を過ぎていた。机の上を見回しても、学生鞄一つ、置かれてはいない。人が来た様子が窺えなかった。
日時を間違えた訳はない。いつも通りの水曜日の授業が行われ、いつも通り、この部の顧問でもある古文の水上先生の授業は眠かった。
その水上の姿もない。やる気無さそうながらも、いつもなら開始時刻には来ている筈なのに。
「おっかしいなぁ……」呟きつつ、美和は自分の机に鞄を放り出した。「真逆、皆で遅刻? そんな事ある訳……」
ふと、彼女は去年の夏の特集記事を思い出した。お決まりの怪談、不思議現象特集だったが、その中の一つに、偶然全員が遅刻したという「奇跡」によって建物の倒壊という災禍から逃れたという話があった。遅刻の原因はそれぞれ違い、また、通常なら後れる事などない人達だったと言うのに。
もし、その偶然の奇跡が自分達の身にも起こり得るとしたら……?
「真逆ね」美和は自分の考えに失笑する。「あれは確かとても信心深い人達だったし、場所は教会だったし……だから余計に『奇跡』だって扱われてたんだわ。あたし達はどう考えても信仰心なんてないし」
それに部室は何ともなっていない。やはり何も起こる筈などなかったのだ。
「そう言えば今年もやるって、早々から言ってたなぁ。怪奇特集。部長達、昨日もどこかのスポットから電話してきたし……。要するに好きなのよね、ああいうのが」
兎に角、待っても来ないのなら此処に居ても仕方ない。もしかしたら何かの都合で定例会が流れたのかも知れない。その連絡が自分に来なかったのだとしたら、それはそれで腹が立つが。
それでも、もし擦れ違いで皆が来て、美和が勝手に帰ったと知ったら――逡巡していた美和の携帯が鳴った。
部長の名前が表示されている。何となくほっとして、美和は通話ボタンを押した。
〈もしもし、美和? お前また遅刻か? 定例会始まってるぞ?〉
「は?」美和は素っ頓狂な声を上げてしまった。「え、えと……何処で?」
〈何処でって、いつもの部室に決まってるじゃないか。寝惚けてるのか?〉
「か、からかわないで下さいよ! 部長!」今自分が独りで居るのが、そのいつもの部室なのだ。「真逆……私、ハブにされてるんですか? そりゃ、定例会位しか出て来ない幽霊部員同然ですけど……。部を退部して欲しいなら、そう言えばいいじゃないですか!」
〈誰もそんな事言ってないじゃないか! 兎に角部室に……〉
「もういいですっ!」美和は一方的に通話を切った。
部長以下数名がどこかの心霊スポットに行くと言って出た切り戻って来ていない――その事を美和が知ったのは、騒ぎになるのを恐れた学校側の隠蔽工作が崩れた、翌日の事だった。更に、その彼等からの呼び出しで出て行った、残る新聞部員も姿を消しているらしい、と。
もし、あの時、美和自身が部室に居なくて、あの電話で呼び出されて部室に赴いていたら……?
辿り着いたのは部長達の居る、何処とも知れない所にある「部室」だったのかも知れない――以来、美和はずっと、遅刻している。
―了―
よ~ぎ~り~め~☆
それも怖いわー!?(^^;)
似た経験したことあります><;;;;;
カララ~ン♪ 私は勢いよく、通りすがりの「お好み屋」の扉を開けた。
12時22分 誰しもが食欲の誘惑に誘われ、欲求を満たしてくれると約束されているはずの「お店」へと、高鳴る鼓動と期待を込めて、扉を押し開くのだ。
「あ・・・客が一人もいねぇぇぇーー( ̄□ ̄;)ガビィーン」
一瞬表の看板見て、営業時間確認しそうですね~☆
ってか、隠す必要も無いんでないかい?
↑すると、中から大きな包丁を持った、ザンバラ頭の怪しげな老婆が姿をあらわした。
「へぇ、おいでなさいまし」
さてさてnukunukuの行く末は、いかなるものか?
それは次回の講釈にて。チャララララン(笑)
ドアを開けて、居る筈の人が居なかったら……どうします?