[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
扉を開けて、少女は一瞬、目を丸くした。
現実ではあり得ない色彩、光に満たされた世界に、無数の鍵が浮かんでいる。
常に数十本もの鍵を腰のベルトに下げ、数多の鍵を管理してきた少女でさえ、圧倒される程に。
「ま……偶にこんな事もあるのよね。前にも何度もあったし」独りごちて、少女は手近な鍵に手を伸ばした。
対となるべき錠を失い、必要とされなくなった鍵――それらが彼女の元には、集まる。
流石に、これ程大量の鍵が一時に集まる事は、そうそう、なかったが。
手に取った鍵を、少女は次々と、鍵束に繋いで行く。時折、じっと見詰め、静かに目を伏せながら。それでも淡々と、作業を続けて行く。
「そう……何度もあった事……。この星の上では」
でも、と少女は手を止めた。その手には一本の鍵――彼女はそれを、別の鍵束に繋いだ。
「こういう事も、あるのよね」
その鍵も、対となるべき錠を失っている事を、彼女は感じ取っていた。
それでも……。
「必要と感じている、人が居る……」
この鍵の属していた場所へ、それが象徴する自らの居場所――只の土地や住所ではなく、自らの存在を支えてくれていた場所へ、帰りたいと……。
見回せば、そこ此処に、同様の鍵の存在が感じられる。
「必要とされている鍵はその者の手へ――か」少女は肩を竦めた。青いリボンで飾られた栗色の髪が揺れる。
忙しくなりそうじゃないの、と少女は口の端に笑みを浮かべる。
それも、この星の上では何度も繰り返されてきた事。
だから、何度でも届けてあげる――口の中で小さく呟いて、少女は新たな鍵を手にした。
―了―
うーむ、やっぱり何か書き難いぞ(--;)
確かに、自分でも腫れ物に触る様な書き方と言うか、ぼかしてるなぁと思う(^^;)