〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin
Link
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
(承前の為、このカテゴリーの例外としてオリジナル書き出しです)
そんな夢を見た、と言ったら友人の忠司から笑われた。
「変な夢だな。大体お前は猫なんて飼ってないし、飼ってたとしても……その〈ワガハイ〉が十八歳なら、お前は幾つなんだよ?」と。
そんな夢を見た、と言ったら友人の忠司から笑われた。
「変な夢だな。大体お前は猫なんて飼ってないし、飼ってたとしても……その〈ワガハイ〉が十八歳なら、お前は幾つなんだよ?」と。
「そうなんだよな」俺も苦笑した。「生まれて間も無い頃拾った猫が十八なら、俺はそれ以上じゃなきゃおかしいんだよな」
ランドセルを揺らし、二人して笑い合う。
「でもあの公園が無くなるのは本当らしいぜ」
「え? そうなのか?」俺は目を丸くする。「やっぱり……あの事件の所為?」
俺達が物心付く前から、約十年間遊び場としていた公園――夢に出て来た老木のある公園だ――では、十一月初めに行方不明事件が起きていた。
かくれんぼをしていた子供が居なくなった――ルール違反だから公園内から出た筈は無いと一緒に居た子供達は言い張った。内一人は隠れる途中、その子が例の老木の方に走って行ったのを見た、と証言もした。無論彼は鬼にそれを教えるような事はしなかったが、どれだけ捜しても、老木の洞迄恐る恐る捜し尽くしても、その子の姿は見付からなかった。
神隠し――そんな言葉が騒ぎを聞き付けた大人達の口に上った。
無論、そんな昔語りの不思議を本気にしている大人は居ない。失踪した子供、そして居るかも知れない誘拐犯の情報が求められ、公園は防犯上の理由とやらで撤去される事になった。件の老木を始めとする木々が周囲からの視界を奪い、犯罪に繋がる、と。
それでもあの老木だけは残る予定らしいと忠司は言う。
俺は首を傾げた。
本当なら一番に伐られそうなものなのに、と。
伐ると祟られる、なんてのは夢の中の話だ。現に俺達はいつもあの洞を遊び場にしていたし、名前を彫り込んだ事もある。木にしたら傷付けられた訳だからもし本当なら……。
忠司にそう言うと、彼は不意に寂しげな笑みを浮かべた。そして俺を公園に誘った。
彼の笑みの意味が解らない儘、それでも俺は同意した。何となく、断れない気がして。
久し振りに見た老木は、やっぱりお爺ちゃんで……二人が入って遊んだ洞は意外と小さかった。俺達が大きくなったという事か――そんな大袈裟な感慨に耽っていると、その小さな洞に、忠司が何の苦も無い風に入って行く。同級生でも大柄な彼が……え?
俺は慌てて後を追おうとした。だが、覗き込んだ洞には誰の姿も無く――俺は五年前の十一月の事件を思い出した。情報収集の為に張り出された子供の名前、それは……。
「……忠司……」老木に向かった彼を最後に見たのは、俺だった。
―了―
夜霧が書いてくれたけど、ここは順番通りに二夜目。
ランドセルを揺らし、二人して笑い合う。
「でもあの公園が無くなるのは本当らしいぜ」
「え? そうなのか?」俺は目を丸くする。「やっぱり……あの事件の所為?」
俺達が物心付く前から、約十年間遊び場としていた公園――夢に出て来た老木のある公園だ――では、十一月初めに行方不明事件が起きていた。
かくれんぼをしていた子供が居なくなった――ルール違反だから公園内から出た筈は無いと一緒に居た子供達は言い張った。内一人は隠れる途中、その子が例の老木の方に走って行ったのを見た、と証言もした。無論彼は鬼にそれを教えるような事はしなかったが、どれだけ捜しても、老木の洞迄恐る恐る捜し尽くしても、その子の姿は見付からなかった。
神隠し――そんな言葉が騒ぎを聞き付けた大人達の口に上った。
無論、そんな昔語りの不思議を本気にしている大人は居ない。失踪した子供、そして居るかも知れない誘拐犯の情報が求められ、公園は防犯上の理由とやらで撤去される事になった。件の老木を始めとする木々が周囲からの視界を奪い、犯罪に繋がる、と。
それでもあの老木だけは残る予定らしいと忠司は言う。
俺は首を傾げた。
本当なら一番に伐られそうなものなのに、と。
伐ると祟られる、なんてのは夢の中の話だ。現に俺達はいつもあの洞を遊び場にしていたし、名前を彫り込んだ事もある。木にしたら傷付けられた訳だからもし本当なら……。
忠司にそう言うと、彼は不意に寂しげな笑みを浮かべた。そして俺を公園に誘った。
彼の笑みの意味が解らない儘、それでも俺は同意した。何となく、断れない気がして。
久し振りに見た老木は、やっぱりお爺ちゃんで……二人が入って遊んだ洞は意外と小さかった。俺達が大きくなったという事か――そんな大袈裟な感慨に耽っていると、その小さな洞に、忠司が何の苦も無い風に入って行く。同級生でも大柄な彼が……え?
俺は慌てて後を追おうとした。だが、覗き込んだ洞には誰の姿も無く――俺は五年前の十一月の事件を思い出した。情報収集の為に張り出された子供の名前、それは……。
「……忠司……」老木に向かった彼を最後に見たのは、俺だった。
―了―
夜霧が書いてくれたけど、ここは順番通りに二夜目。
PR
この記事にコメントする
Re:うんうん、
段々謎の木となりつつあり……
後二夜ですな。

後二夜ですな。
Re:待ち切れなくて…
でも未だ書いてないお題がある~☆
その分楽しみもあるけど。
夜霧……そんな子に育てだ覚えは……うっうっ
なんちて
その分楽しみもあるけど。
夜霧……そんな子に育てだ覚えは……うっうっ

なんちて
