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十五年前捨てた筈の娘達に、どうしても会いたくなった。
それは自分が年老いたからかも知れないし、家を出る原因となった連れ合いの死を、この秋、看取ったからかも知れなかった。二十年前に亡くした、娘達の実母と彼女、私は二人の愛すべき女性の死を見てしまった。
しかし、再婚に反対されたからと、若造でもあるまいに駆け落ち同然に家を出た父親など、どの面下げて、娘達の前に出ればいいのだろう?
娘達は上が三十七、下が三十五になっている筈だった。私が家を出た頃には二人共成人し、姉には婚約者も居た。それが尚の事、私の再婚への反対へ、彼女を駆り立てた様だった。恥ずかしいから、と。
私は妻を亡くしてから五年間、男一人で娘達を育ててきた。そして一人が巣立って行く事を喜んでいた。だが、彼女は私が新しい連れ合いを家に入れる事を、喜んではくれなかった。妹も。
友人の伝で調べた所、彼女等はそれぞれに家庭を持っている様だった。姉はあの時の男と、妹はあれから出会った男と。今ではそれぞれに子供――私の孫だ――を儲けているらしい。姉には十一歳の娘。妹には十歳の息子と八歳の娘が居ると言う。二つの家庭は仲が良く、事ある毎に互いの家に集まっては夕食会等を開いているらしい。
勿論、私はその孫達にも会いたい。
だから私はこの日を待った。
シルバー人材を派遣する会社に籍を置いたのも、この日の為だ。
私は然るべき衣装を身に着け、本番へと備えた。
だが、本当にばれないだろうか? ばれて……冷たい罵倒の言葉を浴びる事を、私は恐れた。特に今宵は。
こんな衣装と、あからさまな付け髭と、目深に被った帽子などで……。
「もう来る頃かな?」白くデコレーションされた窓から、夜の闇を透かしながら、男の子は言った。「プレゼントはサンタのおじいさんが配達してくれるんでしょ?」
「ええ」母親が頷いた。伯母もその隣で微笑んでいる。デパートの配達サービス。サンタの仮装をした配達員が来る事になっている。そこに派遣されている老人を、彼女達は待っていた。
父の友人の伝で突き止めた、今の派遣先。彼の担当地域にある妹宅を、今回の会場に、家族揃ってサンタを待つ。
十五年間の土産話が、彼へのプレゼントだった。
―了―
今回捻りが無いですねー。聖夜近いので毒が抜けてる?(笑)
と言うか、待ち構えてます(笑)
やっぱりこのカテは短過ぎるなぁ。
と言ってこの後十五年分語らせるのも野暮かと。
あ、一応「温」は詰まってましたっけ。
腹の中は判らないけど……。
やっぱりクリスマス近い所為か、血腥い話にはしたくないし……(^^;)
またそちらにもお伺いしますね(^^)
娘達も複雑だった事でしょうが、受け入れる気分になったのは聖夜だからかな?
一緒に逃げた女性がいなくなったから…じゃないよね?
父もサンタの扮装ならばれないだろうと思ったんだろうし、知られるのを恐れてる所が謙虚でいいです。
損得抜きで、ただ会いたいだけ。
そうでなければ友人は動いてくれなかったろうしね。
良い友人は宝ですね~
彼も兎に角会いたかった。でも拒否されるのは怖いし……。
実は友人氏が彼らにとってはサンタかも?(^^)
やっぱりクリスマスにはわくわく感が似合うかと。
お互いを理解できたんですね^^
巽さん・・・ミステリーですよ~クリスマスミステリー(^^)/
と、ある少女にクリスマスプレゼントが届く!なんて、始まりから如何っすか?
何が出るかにゃ?
楽しい方向で考えてみます~♪
妹か弟じゃ駄目かい?(笑)
季節物だし、あの変装(仮装?)で行こう、と。
そうしたらハッピーエンドにしたくなっちゃった♪
恐らくこれからは普通に会えますよん。
捻りというか、文章の流れのような気がします。アイデアはいいと思うので。しかしながら、おいらにはどうしたらいいとかわかんないけどw
あ、サンタで娘たちにあった帰りの話にして、こういう経緯で行ってきたみたいな。そんで、最後に手紙(たんなる、御礼の手紙と思ってる)を妹たちから貰ってたのを読んで(内容はお父さんへだった)泣き崩れるみたいな。
って、まぁ、おいらの独り言(笑
しかし、こういう文章をさらさら書けるのはうらやましいよー。
おいらも書きたい。練習しなきゃー。
それも面白かったかも♪
取り敢えず文字数制限に拘ってしまったよ☆