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「去年のクリスマスにね、ネックレスを贈ったんですよ。ところがそれ以降、彼女とは一切連絡が取れず……別れ話とかする事さえなく、自然消滅。一体何がいけなかったんでしょうねぇ……」
しまった。会社の休み時間、社員食堂で同じ課の後輩と隣り合わせ、黙っているのも何だろうと時節柄無難な話題を振った心算だったが……クリスマスの思い出はいいものばかりとは限らない。
「そ、そうか……。何か気に入らなかったのかな」内心冷や汗をかきながら、適当に相槌を打つ。
「それならそれで、貶しでもしてくれればよかったんですけどねぇ。プレゼントを渡した時は『有難う』って喜んでくれていたのに、その夜別れて以降、電話にもメールにも返答もなく、消えてしまったんですよ」がっくりと肩を落とす、後輩。「帰ってからよくよく見て、安物だと思ったのかなぁ。自分としては張り込んだ心算だったんですけどねぇ」
気の毒に――例えプレゼントが気に入らなかったとしても、姿迄消す事はないだろうに。うちの女房なんか、安い指輪でも顔だけは笑ってくれるぞ。目は笑っていないし、着けているのを見た事もないけれど。
「ま、まぁ、そういう心遣いの出来ない女性だったんだろう。いい方に考えれば、そういう子とは早めに別れてよかったんじゃないか? 何、未だ若いんだ。未だいい女性が……」
「三人目、なんですよ」私の言葉を遮って、後輩は言った。「彼女で三人目。前もその前も、やっぱりクリスマスにプレゼントを渡して……その夜別れて以降、連絡も取れない儘、自分の前から姿を消してるんです」
「……」流石に軽く、言葉を失った。
クリスマスプレゼントを渡す度に彼女と別れる? 彼女が姿を消す?
いや、それ以前に、そんなに次々と彼女が出来るのか、この後輩!
ささやかな妬みとやっかみを抱えつつ、私は尋ねた。
「その二人にもやっぱりネックレスを?」
「いえ、一人目はブレスレットを、その次の子にはイヤリングをプレゼントしたんです。何が気に入らなかったのは解らないんですけど、同じ物じゃ駄目な気がして、変えてみたんですが……」
なるほど、彼なりに考えてはいるらしい。
「しかし……余程奇抜なデザインの物でも贈ったのかい?」
それにしたって、三人が三人共、何も言わずに姿を消すとは……。いや、彼の好みの女性が、そういうタイプなのかも知れないが。
「いえ、奇抜だなんて」彼は頭を振った。「寧ろ、落ち着いたいいデザインだと思ったんですけどねぇ。アンティークだし」
「アンティーク? 中古品か」
「嫌ですねぇ、先輩。普通の中古品とは一緒にしないで下さいよ」彼は僅かに眉間に皺を寄せた。「アンティークというのは只古いだけでなく、上質な材料、造り、それらがあってこそ使い続けられた品質。何より、大事に使い込んできた古人の思いがいい風合いを醸し出す、芸術品ですよ?」
「そ、そうか……済まなかった」いつにない後輩の気迫に気圧され、取り敢えず私は謝った。「それで、三人共、その……アンティークを?」
「はい。店で特に輝きを放って見えた物を選んだんですけどねぇ……」またがっくりと、肩を落とす。余程、自信のプレゼントだったのだろう。
「そうか……。残念だが、今度は普通に新しい物を選ぶか、そういったアンティークの良さを解ってくれる女性を探すんだな」
「そうですね……。はい、そうします」頷いて、後輩は黙々と昼食に戻った。
数日後、彼は相談に乗ってくれたお礼にと――いや、そもそもそんな心算もなかったのだが――万年筆をプレゼントしてくれた。
アンティークの。
「いい品でしょう。この新品とは違う深い輝きがいいんですよね」一人悦に入る後輩に、それなりの相槌と礼を言い、私は受け取ったそれをよくよく、眺めた。
確かに新品のピカピカした輝きとは違う、使い込まれた物の持つ落ち着いた輝きがある。確かに大人なら一本は持っていたい、そんな品かも知れない。
尤も、彼程にのめり込める物なのかどうかは、生憎と門外漢で解らないが。
ところがその深夜、私は物音で目覚めた。
何やら部屋の隅から、カリカリと擦る様な、いや、紙に何かを、それも一心不乱に書き連ねている様な音がする。
目だけを動かして見るが、女房は隣で眠った儘。大体、灯も点けずに書き物などする道理もない。
私は音のする方に視線を動かし――そこに誰の姿もない事、そしてそこにあるのが例のアンティークの万年筆をしまった通勤鞄だという事を確認した。
カリカリ、カリカリ……音は未だ続いている。
私は思わず咄嗟に、枕元のスタンドを点けた。
途端、音は止み、代わりに明るさに眠りを邪魔された女房が唸った。
私は万年筆を取り出し、掌の上のそれをじっと見詰めた。
後輩……もしかしたら彼には、品物を使い込んできた古人の思いとかいうものが、見えるのかも知れない……。
それを輝きとして捉え、女性達にも贈っていたのだとしたら……。
「気の毒に……」贈った者、贈られた者、双方に対して、私はそう呟いた。
―了―
普通の品が一番!?(^^;)
まぁ、使用2、3年でも、念が籠らないとは限りませんが……?( ̄ー ̄)
いや、正確に言うと、まだ横にありますが。(笑)
10年も使うと愛着も湧くし、無茶な使いかたをした割りに、元のまま壊れずに動いてくれたし、壊れるまで使おうと思ってますが。
ここまで使うと念は残らないかな?
やっぱり何でも、使い込んだ物は愛着が湧きますよねぇ。
有難うございます♪
返信したけど、届いた?
なんと、クリスマスプレゼントに贈られてきたのは、アンティークなパソコン。。。
いや、まだ、パソコンとは呼ばず、マイコンと呼んでいた品物だ( ̄□ ̄;)ガビィーン
モニターは真空管ブラウン管(*^o^*) テレテレ
記憶媒体はTDKのカセットテープ(ノーマルポジション)。。。私の愛車ミラ君もラジカセで、未だにTDKのカセットテープ(それでも、メタルポジションだぞー^^v)
メモにはこう書いてあった。。。
2000年1月1日誤動作しないか、チェックしてくださいby沖電気 ( ̄□ ̄;)ガビィーン
2000年問題というヤツかぁー。。。。。
関係ねぇーしぃーーーーo(^o^o)(o^o^)o ワクワク
メリー・クリスマスー(≧∇≦)Y
ありましたねー、そんな事も(^^;)
メリー・クリスマス♪