〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin
Link
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「あれ? 陽一君一人?」何やら慌てて部屋を出て行った義兄は、戻って来るなり、きょとんとしてそう言った。
僕が頷くと首を捻りながらおかしいなぁ、などと呟いている。
「陽一君と一緒に小さな女の子が居たと……。五、六歳位で赤い着物を着た子。てっきり、余り会う機会のないお義母さん方の親戚の子が遊びに来てるんだと、慌てて用意したんだけど」そう言う義兄の手にあるのはお正月名物ポチ袋。そつのない義兄の事だから予備を用意して来ていたのだろう。
「母方に小さな女の子は居ませんよ。でも、折角だし、僕が貰っておきますよ」僕は笑いながらそう言って手を差し出す。
「またまた冗談を」笑いながら義兄はポチ袋をポケットにしまい込んだ。「陽一君にはさっき上げたじゃないか。それに、入社したばかりながら結構稼いでるって、お義母さんが自慢してたよ? これっぽっち要りやしないだろう」
笑って誤魔化しはしたけれど、実は結構切実に、僕は金銭を欲していた。
それと言うのも、今日は正月休みでこうして実家に帰省しているけれど、普段の僕は一人暮らし。ところがこの頃やけに部屋の光熱費の請求額が高いのだ。
買い揃えたテレビやオーディオ、ゲーム類を存分に楽しむ暇もなく、夜も遅く迄働いていると言うのに。検針のメーターがおかしいのかも知れない。一度点検して貰った方が……ああ、でもそれを頼む金さえ惜しいんだ。
やがて正月休みも終わり、仕事に明け暮れる日常に戻ったある日の朝、僕は大事な書類を部屋に忘れた事に気付き、慌てて取りに戻った。
そして、見てしまったのだった。
五、六歳位で赤い着物を着た小さな女の子が、僕の部屋で勝手にテレビを見ているのを。
ど、どこの子だ?――僕は鍵を掛け忘れていなかった事を再確認しながら、正月に義兄が言っていた事を思い出していた。僕と一緒に居た? 実家でも?
「君、どこの子?」茫然としながらも僕は尋ねた。
女の子はバツが悪そうな顔をしながらも、堂々と答えた。
「座敷童じゃ」と。
「……座敷童?」僕はぼかんとする他ない。「座敷童って、あの住み着くと家が栄えるってあれ?」
「そうじゃ」自信満々に頷く、自称座敷童。
「嘘つけ! じゃあ何で僕が金欠なんだよ? さてはお前がこうして留守中に勝手にテレビ見たり、ゲームしたりしてるんだな!?」
「それは……つい」ふい、と目を逸らす座敷童。何がつい、だ。
「これじゃ栄えるどころか家計が傾くじゃないか!」
僕が思わず吠えると、しかし座敷童はにこりと笑ってこう言った。
「安心せい。我が居るからには仕事には困らん。この御時世、稼ぎのいい仕事があるだけでも幸運よのう」
僕は……それを否定もし切れず、「さ、働け」と笑う座敷童に見送られて出社したのだった。
―了―
夜中に携帯で何書いてんだ、私(^_^;)
僕が頷くと首を捻りながらおかしいなぁ、などと呟いている。
「陽一君と一緒に小さな女の子が居たと……。五、六歳位で赤い着物を着た子。てっきり、余り会う機会のないお義母さん方の親戚の子が遊びに来てるんだと、慌てて用意したんだけど」そう言う義兄の手にあるのはお正月名物ポチ袋。そつのない義兄の事だから予備を用意して来ていたのだろう。
「母方に小さな女の子は居ませんよ。でも、折角だし、僕が貰っておきますよ」僕は笑いながらそう言って手を差し出す。
「またまた冗談を」笑いながら義兄はポチ袋をポケットにしまい込んだ。「陽一君にはさっき上げたじゃないか。それに、入社したばかりながら結構稼いでるって、お義母さんが自慢してたよ? これっぽっち要りやしないだろう」
笑って誤魔化しはしたけれど、実は結構切実に、僕は金銭を欲していた。
それと言うのも、今日は正月休みでこうして実家に帰省しているけれど、普段の僕は一人暮らし。ところがこの頃やけに部屋の光熱費の請求額が高いのだ。
買い揃えたテレビやオーディオ、ゲーム類を存分に楽しむ暇もなく、夜も遅く迄働いていると言うのに。検針のメーターがおかしいのかも知れない。一度点検して貰った方が……ああ、でもそれを頼む金さえ惜しいんだ。
やがて正月休みも終わり、仕事に明け暮れる日常に戻ったある日の朝、僕は大事な書類を部屋に忘れた事に気付き、慌てて取りに戻った。
そして、見てしまったのだった。
五、六歳位で赤い着物を着た小さな女の子が、僕の部屋で勝手にテレビを見ているのを。
ど、どこの子だ?――僕は鍵を掛け忘れていなかった事を再確認しながら、正月に義兄が言っていた事を思い出していた。僕と一緒に居た? 実家でも?
「君、どこの子?」茫然としながらも僕は尋ねた。
女の子はバツが悪そうな顔をしながらも、堂々と答えた。
「座敷童じゃ」と。
「……座敷童?」僕はぼかんとする他ない。「座敷童って、あの住み着くと家が栄えるってあれ?」
「そうじゃ」自信満々に頷く、自称座敷童。
「嘘つけ! じゃあ何で僕が金欠なんだよ? さてはお前がこうして留守中に勝手にテレビ見たり、ゲームしたりしてるんだな!?」
「それは……つい」ふい、と目を逸らす座敷童。何がつい、だ。
「これじゃ栄えるどころか家計が傾くじゃないか!」
僕が思わず吠えると、しかし座敷童はにこりと笑ってこう言った。
「安心せい。我が居るからには仕事には困らん。この御時世、稼ぎのいい仕事があるだけでも幸運よのう」
僕は……それを否定もし切れず、「さ、働け」と笑う座敷童に見送られて出社したのだった。
―了―
夜中に携帯で何書いてんだ、私(^_^;)
PR
この記事にコメントする
Re:無題
居ると家計が傾きそうな座敷童(爆)
一家に一人……要らんわな(^^;)
一家に一人……要らんわな(^^;)
Re:こんにちは♪
やはり子供(?)なので(笑)
座敷童としては「この不況の最中、仕事があるのも我のお陰」なのだとか……(^^;)
座敷童としては「この不況の最中、仕事があるのも我のお陰」なのだとか……(^^;)
Re:こんにちは
や、夜中に寝付けなくて何となく書いてみました☆
カレンダーも埋まるし(笑)
カレンダーも埋まるし(笑)
Re:こんばんは
そうかも(笑)
でも、今は仕事に就けない人も多いからね~。ちょっと現代っ子な座敷童(^^;)
でも、今は仕事に就けない人も多いからね~。ちょっと現代っ子な座敷童(^^;)
遅ればせながら。。。
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
いや、もしかすると現代の座敷童ってこんな感じだったりするのかも。。。!!
……我が家だったら丁重にお引取り願う……というより自分たちが引っ越すかもしれないですねぇ(^_^;
ま、実際私が貧乏神みたいなもんですが(笑)。
今年も宜しくお願いいたします。
いや、もしかすると現代の座敷童ってこんな感じだったりするのかも。。。!!
……我が家だったら丁重にお引取り願う……というより自分たちが引っ越すかもしれないですねぇ(^_^;
ま、実際私が貧乏神みたいなもんですが(笑)。
Re:遅ればせながら。。。
こちらこそ、今年も宜しくお願い致します(^-^)
現代っ子な座敷童、やっぱり人気がない様です(笑)
現代っ子な座敷童、やっぱり人気がない様です(笑)
Re:こんばんは♪
ああ、暖房もつけてるかも知れませんね(笑)
「この電気カーペットという奴は温いのう♪」とか言って(爆)
「この電気カーペットという奴は温いのう♪」とか言って(爆)
Re:おめでとうございます
年中無休です(笑)
こんな座敷童でもいいですか?(^^;)
ともあれ、今年も宜しくお願いします^^
こんな座敷童でもいいですか?(^^;)
ともあれ、今年も宜しくお願いします^^
Re:おめでとうございます
にゃ?
ダブってる(^^;)
ダブってる(^^;)