〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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狭霧はママが欲しいな。
妹の夏美も欲しいかな?
ママが居なくなって何か月かな? 一つ、二つ、指を折って……六つ。
どうして帰って来なくなったんだろ?
どうしてパパも何も言わないんだろ?
どうしてパパが連れて来たおばさんがごはん作ってくれてるんだろ?――狭霧と夏美の好きなものばっかりでうれしいけど、やっぱりママの味とはちがう……。
妹の夏美も欲しいかな?
ママが居なくなって何か月かな? 一つ、二つ、指を折って……六つ。
どうして帰って来なくなったんだろ?
どうしてパパも何も言わないんだろ?
どうしてパパが連れて来たおばさんがごはん作ってくれてるんだろ?――狭霧と夏美の好きなものばっかりでうれしいけど、やっぱりママの味とはちがう……。
一度パパにきいたら、泣きそうな顔になってた。パパの――ううん、大人の人の――そんな顔を見た事はなかったから、ちょっとびっくりした。
でも、すぐにそれをがまんするみたいに笑って、ママは遠いところに行ったんだって言った。遠いところってドコってきいても、ただ遠いところだよってくり返して、教えてくれなかったけど。
でも、いくらあたし達が小さくても、何となく分かる。お仏壇に毎日、お線香のけむりが漂ってたり、新しいお花がお供えされてたり……。だから、分かった。
ママはもう帰って来ないんだって。
夏美にそう行ったら「何で?」ってくり返された。
多分、死んじゃったから――そう言っても分からなかった。パパみたいに「遠いところに行ったんだよ」って言っても、「いつ帰って来るの?」って。「帰って来るんでしょ?」って。
だからもう帰って来ないの!――そうきつめに言ったら泣き出した。それを見て、あたしも悲しくて泣いた。本当にもう帰って来ない。口に出しても、本当はどこかで、いつか帰って来るんだって思ってたんだ。でも、夏美の泣き顔を見て、その言葉が本当なんだって、思った。そうしたら涙があふれてきた。
そんな時、おばさんはあたし達を抱き締めて、よしよし、って背中を叩いてくれた。あたたかかった。
だから、狭霧はママが欲しいな――おばさんにママになって欲しい!
でも、夏美はまだママの事で時々泣いてる。新しいママなんて、考えてもいないみたい。
パパは……パパはどうなんだろう? おばさんとは仲良くお話してる。ママとお話してる時より、笑ってる事が多いみたい。ママはいつもお金の事で怒ってばかりいたから。
だからきっとパパも、おばさんに新しいママになって欲しいはず。
パパと、狭霧と、夏美と……ママになったおばさん。その四人でこのおうちで暮らすんだって考えたら、わくわくしてきた。
だから、ある晩、二段ベッドの下の段から、上にいる夏美に言ったんだ。
「おばさんが新しいママになってくれたらいいよね。夏美だって、ママ、欲しいでしょ?」
答えはしばらく無かった。
「夏美?」
「夏美のママは、ママしかいないよ――帰りの幼稚園バスから、パパと、あのおばちゃんといっしょに車に乗ってるのを見てから、ずうっと帰って来ないママしか」
反対方向に向かっていて、その車がドコに行ったのかは分からないって、夏美は言った。
どう考えていいのか、あたしには分からなかった。頭がぐるぐるして、考えられない――考えたくなかった。
でも……ママは欲しくなくなった。パパも。おばさんも。
だからね、あたしがママになるんだ。あたしと、夏美のママ。
もう少し大きくなって、本当のママがどうなったのか、本当の事を知るまで。
―了―
子供風の文章って……却って難しい~。
漢字もなるべく控えてみました☆
でも、すぐにそれをがまんするみたいに笑って、ママは遠いところに行ったんだって言った。遠いところってドコってきいても、ただ遠いところだよってくり返して、教えてくれなかったけど。
でも、いくらあたし達が小さくても、何となく分かる。お仏壇に毎日、お線香のけむりが漂ってたり、新しいお花がお供えされてたり……。だから、分かった。
ママはもう帰って来ないんだって。
夏美にそう行ったら「何で?」ってくり返された。
多分、死んじゃったから――そう言っても分からなかった。パパみたいに「遠いところに行ったんだよ」って言っても、「いつ帰って来るの?」って。「帰って来るんでしょ?」って。
だからもう帰って来ないの!――そうきつめに言ったら泣き出した。それを見て、あたしも悲しくて泣いた。本当にもう帰って来ない。口に出しても、本当はどこかで、いつか帰って来るんだって思ってたんだ。でも、夏美の泣き顔を見て、その言葉が本当なんだって、思った。そうしたら涙があふれてきた。
そんな時、おばさんはあたし達を抱き締めて、よしよし、って背中を叩いてくれた。あたたかかった。
だから、狭霧はママが欲しいな――おばさんにママになって欲しい!
でも、夏美はまだママの事で時々泣いてる。新しいママなんて、考えてもいないみたい。
パパは……パパはどうなんだろう? おばさんとは仲良くお話してる。ママとお話してる時より、笑ってる事が多いみたい。ママはいつもお金の事で怒ってばかりいたから。
だからきっとパパも、おばさんに新しいママになって欲しいはず。
パパと、狭霧と、夏美と……ママになったおばさん。その四人でこのおうちで暮らすんだって考えたら、わくわくしてきた。
だから、ある晩、二段ベッドの下の段から、上にいる夏美に言ったんだ。
「おばさんが新しいママになってくれたらいいよね。夏美だって、ママ、欲しいでしょ?」
答えはしばらく無かった。
「夏美?」
「夏美のママは、ママしかいないよ――帰りの幼稚園バスから、パパと、あのおばちゃんといっしょに車に乗ってるのを見てから、ずうっと帰って来ないママしか」
反対方向に向かっていて、その車がドコに行ったのかは分からないって、夏美は言った。
どう考えていいのか、あたしには分からなかった。頭がぐるぐるして、考えられない――考えたくなかった。
でも……ママは欲しくなくなった。パパも。おばさんも。
だからね、あたしがママになるんだ。あたしと、夏美のママ。
もう少し大きくなって、本当のママがどうなったのか、本当の事を知るまで。
―了―
子供風の文章って……却って難しい~。
漢字もなるべく控えてみました☆
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Re:こんばんは
表面友好的、内面……とか(^^;)
それはそれで怖っ。
それはそれで怖っ。
Re:こんばんは♪
パパとおばさんと一緒に行って帰って来なくて……自殺だとしたら幾ら何でも一緒に居られないと思うんだけど。パパ達。
おばさんとは表面上……?(^^;)
おばさんとは表面上……?(^^;)
こんにちは
冒頭、苦しいね。(笑)
この姉妹、何歳ぐらいの設定?
子供って、意外と大人のことをわかっているし、話も聞いてるんだよね。
でも全てを理解して居る訳でも無くて・・・。
ちょっと難しいかもなぁ。
妹の発言は、ちょっと大人過ぎる気もした。
この姉妹、何歳ぐらいの設定?
子供って、意外と大人のことをわかっているし、話も聞いてるんだよね。
でも全てを理解して居る訳でも無くて・・・。
ちょっと難しいかもなぁ。
妹の発言は、ちょっと大人過ぎる気もした。
Re:こんにちは
夜霧センセに今更ママは要らんでしょうし(笑)
姉妹は下が幼稚園、お姉ちゃんは一個上、位。
子供の目線って時々鋭いからねぇ。
因みに……夜霧と一緒で言った事の意味が解っているかどうかは謎(笑)
姉妹は下が幼稚園、お姉ちゃんは一個上、位。
子供の目線って時々鋭いからねぇ。
因みに……夜霧と一緒で言った事の意味が解っているかどうかは謎(笑)
Re:無題
子供って周囲の大人の発言とか、聞いてない様できっちり聞いてますからねぇ(^^;)
意味が解ってるかどうかは兎も角(笑)
意味が解ってるかどうかは兎も角(笑)
Re:六つってなに?
3の倍数ヾ(´―`)
Re:大人の事情
子供の視線は正直ですからね~。
こんな事解らないよねって事でも、油断なりません(--;)
こんな事解らないよねって事でも、油断なりません(--;)
Re:倍数
それはね……って、こらーっ!(爆)
夜霧の偽者が出た(笑)
夜霧の偽者が出た(笑)
Re:夜霧ちゃんへ☆
や、解ると思いますよ~。
夜霧は兎も角、afoolさんには(爆)
夜霧は兎も角、afoolさんには(爆)