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やだ、まただ――突然の停電に、しかし私は慌てずに、いつもの位置に用意してあった懐中電灯のスイッチを入れた。どうせ直ぐに直る。もうすっかり慣れっこになっていた。
このマンションに越して来て三箇月。もう何度停電した事か。
初めの頃こそ、不意の停電に慌て、窓外の建物に灯る明かりを見て此処だけなのだと知り、ブレーカーを調べてみたり、欠陥マンションかと憤ったりしたものだった。けれど、近隣の先住者や不動産屋の話では、既に幾度も調査は行われたものの、この建物に構造的な不備は一切見当たらないとの事。かと言ってブレーカーが落ちた訳でもなく、使用可能電力は充分な筈だった。
建物に不備がない以上、転居するなら完全に自費。越したばかりでそんな余裕もなく、私は此処に居続けたのだった。
「それにしてもおかしくない? この停電!」偶々泊まりに来ていて、然も偶々運悪くシャワー中に停電に遭った友人が膨れ面で零した。このマンションでは給湯設備も電力使用の為、突然の闇に加えて、冷水と化したシャワーに震える事態となってしまったのだ。水を止めようにも暗くて解らないしと、散々愚痴っていたのも無理もないだろう。「建物の構造に不備はない、電力供給も充分、だったら何で此処だけ停電するのよ?」
「それが解ったら何とかしてるわよ」私は肩を竦めた。因みに停電はもう回復している。
「ねえ、ここ……幽霊マンションとか、そんなんじゃないわよね?」
「嫌な事言わないでよ。取り敢えず、この部屋で事件があったとかいう話は聞かなかったわ。そう言えば不動産屋の説明責任って建物全体には及ばないのかしらね?」
「多分、その部屋だけじゃない? という事は他の部屋の事迄は解らないのか……」
「オーナーも隣近所の人も何も言ってなかったけどね」
「隣近所の人もこんな状態で我慢してるの?」
「まぁね。此処、割安だし」
「割安……って、やっぱり何かあるんじゃないの?」
「それはほら」私は窓の外を指差した。「隣の敷地が墓地だから」
「…………聞いてないわよ」
泊まりの予定の彼女はそそくさと帰って行った。
墓地を見下ろす窓のカーテンを閉めて、私はふと溜息をついた。
引っ越した当初薄手の花柄だったカーテンは、厚手の遮光カーテンに替えた。もしかしたら、全戸遮光カーテンにしたら、この停電は治まるんじゃないだろうか?
でも、それを提案するのは流石に、ねぇ……。
何となくだけれど――夜中にいつ迄も電気を点けているのが眩しい、と墓地に眠る方々に怒られている様な気がするのだけれど。
―了―
こんなマンションあったら、安心してネット出来へーん!(^^;)
そか、安心して出て来られないから……って、暗くなったらわらわらと……!
だいぶ前に買った無停電電源装置(重い電池みたい)が耐用年数過ぎたのに動いてくれてます。ブレーカーが落ちてもすぐ入れればパソコンは動き続けてくれますよ、助かります(^.^)
そう言えば昔の土葬のお墓では、長年の内に墓石の位置とお骨の埋まっている位置がずれていたりって事もあるそうですね。実はマンションの建っている敷地が……なんてね?