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写真に写り込んだと言う、その影が気になって、私は小さ目の旅行鞄を持って、列車に乗った。
本来なら何気ない日常を写しただけのスナップ写真。
やや傾き始めた陽の差すいつもの教室で、仲のいいメンバーが雑誌を回し見ながら話に興じている。何で態々撮ったのかも解らない程、他愛ない、そんな写真。
でも、椅子に座った私の背後にそっと、あの人の面影を持った何かが、立っているのだと言う。
写真が撮られた当時――約三年前には何も無く、そしてあの人は旅先から絵葉書をくれたと言うのに。
〈心霊写真って後から浮かんできたりするものなのかなぁ?〉
昨夜気が付いて驚いたからと電話してきた友人は、そう言った。
「心霊写真だなんて……縁起の悪い事、言わないでよ」反射的に、私はそう反駁した。「啓太は未だ行方不明なんだからね。心霊写真だなんて……死んだ訳じゃ……」
〈ご、ごめん、沙耶〉
電話の向こうで、慌てた様子で謝る友人。
そう、あの人――啓太は旅に出た儘、未だ帰って来ない。不定期に送られて来ていた絵葉書も、もう二年、届かない。一人旅での音信不通を心配した啓太の両親が捜索願を出したけれど、未だ手応えはないらしい。彼に似た人が保護されているという情報が入れば直行したり、果ては身元不明の遺体を確認しに出向いたりもしたそうだけれど……。
でも、遺体が見付からない以上、彼は生きている。少なくとも、法的には。失踪から七年を経過しない限り。
兎に角、気にはなるから実際に見たい、と私は二年振りの帰郷を決めた。
列車を何本か乗り継いで、やっと辿り着いた郷里は殆ど何も、変わっていなかった。
駅前にはコンビニの一軒も無く、乗客を待つタクシーの長い列も無い。友人が車で迎えに来てくれていて、助かった。その儘彼女の家に行き、件の写真を見せて貰う事にした。
「取り敢えず一息ついてから」と、麦茶の後に出されたアルバムを、私は食い入る様に見詰めた。
アルバムは学生時代のスナップを中心に構成されているらしく、被写体の殆どが、私も知った場所、知った人達だった。懐かしさが溢れ、ページを捲る手が遅くなる。
その一枚に、解り易いようにだろう、付箋が貼られていた。手が、完全に止まる。
懐かしい教室、懐かしい仲間。そして当時の私の後ろには……。
「啓太……」唇が戦慄く。泣きそうな程の懐かしさからなのか、恐怖の所為なのか、自分でも解らない。
只、確かにそれはあの人だった。
「な、何か昨日よりはっきりしてる……!」横から覗き込んだ友人が目を見張る。「やっぱり……」
心霊写真、という言葉は飲み込んだ様だ。
けれど、私にもこれが異常なものなのだとは、解った。私の背後に立つ、彼の姿は半透明で、後ろの黒板が透けて見えている。
だとすると、やはり彼は……?
友人の了承を得て、私はその一枚をアルバムから取り出した。万が一、友人の手の込んだ、そして質の悪い悪戯という事も考えられる。だが、少なくとも肉眼で見る限り、合成らしき痕跡は見付からなかった。
「どうして今頃……」私は呟いた。
「沙耶……」友人はしんみりとした声で、優しく応えてくれた。「きっと、心は沙耶の傍に居るって事じゃないかな。ほら、後ろから覗き込むみたいにして、見守ってくれてるみたいじゃない」
「そうね……」私は何度も頷き――喉から嗚咽が漏れた。
結局私は友人からその写真を貰い、実家に立ち寄って明日、街に戻る事にした。車で送ると言う彼女に、懐かしい風景を味わいたいからと断りを入れて、歩く。
彼女の家から、いや、町の中心部から実家迄は短いが山道を越えなければならない。片側は山、もう片側は切り立った谷。いずれにも鬱蒼とした樹木が茂り、見通しは悪い。
丁度急カーブを描くその道で、谷側のガードレールに歩み寄り、私は写真を取り出した。
「見守ってくれてる……か」
ぴり……。私の爪が写真の端に掛かる。
「俯いてるから、覗き込んでる様に見えるのね。でも……」
ぴりり……。写真の亀裂が広がっていく。
「そんな訳ないじゃない……!」
びりっ!
私と、その背後の影との間を切り裂く様にして、写真は真っ二つになった。私の手は、狂った様にそれを更に細かく千切っていく。
そんな訳ない、そんな訳ない……そればかりを心の中で繰り返す。
だって、旅先から町に戻って真っ先に会いに来てくれた彼を、此処から突き落としたのは私なんだもの。
遺体が見付からないのをいい事に、行方不明になった彼を心配する女を演じているのは私なんだもの。
七年……七年経てば、法的に彼は死んだ事になり、周りだって私が諦めても仕方ないと思ってくれる……。例え死亡が認められても、遺体が見付からなければ、死因は特定出来ず、私が罪に問われる事もない。
そんな打算で動いているのが、私なんだもの。
見守ってくれる筈がない。
例え今、どれだけ後悔していようとも。
動機は絵葉書だった。
いつも旅先で出会った女の子の事しか、彼は書いて寄越さなかった。旅先だから返信も出来ない。真偽を問い質す事も出来ない。そうしてふつふつと嫉妬の炎をたぎらせる私の前に彼は帰って来たのだ。
本当は離れている間も私の気を惹きたくて、嘘を書いて寄越したのだと知ったのは、彼の両親がその足跡を辿り出した後の事。当然、手遅れだった。
私はそっと、ガードレールから身を乗り出してみた。
けれど、その身を投じる事はしない。
私は見守られる資格もない女。
だから、貴方の元にも未だ行けない。
谷を吹き上がってくる風に散り散りに舞う写真の残骸を見上げて、私はそっと踵を返した。
―了―
長い!(--;)
こわいよぉ~;;
。。。この女の人が^^;www
しかし、この男の人も、中途半端な性格してるよねw
「こんなに遠く離れていても、君への思いは強まるばかりさ><v」←なんか、ウザイやつだ^^;w
ぐらい言っとけばいいのにね^^v
出てくるなら、友達のとこじゃなく直接本人のとこに出て「今でも君のことが忘れられへんねんで><v」←やっぱり、こいつウザイwww
ぐらい、言えばいいのに^^;wwww
ちなみに、私は、最近、私の諭吉が行方不明です(T_T) ウルウル
それも、ここ数年で、1人や2人じゃ、ありませんor
諭吉。。。帰ってきてくれぇぇぇぇ~~~~><;ヤッホー!!!
私の諭吉を見つけたら、連絡ください^^v
保護しに、飛んで行きます(((((((((((((( ><;)ヌォォォー!
ではではー^^/
うちの諭吉さんはめちゃめちゃ足が速いですが(苦笑)
う~ん、やはり嘘で彼女の自分への関心を煽ろうとしたり、今頃出て来たり……どっちにしても……(^^;)
彼を仲間にしたがっている霊が取り憑いていた!?
幽霊より、生きてる人間の方が怖くなるのは何故~?(^^;)