〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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克美は、創立祭には参加したいなぁ、と呟いた。
学校の創立六十周年の記念として、かなり華やかな祭が計画されているらしいのだ。屋台が出たり、演劇があったり、歌があったり……それだけを聞くと、丸で文化祭みたいだけれど。
幼い頃から病弱で普段から休みがちな克美は、それでなくても登校したくて仕方ない様だ。
けれど、普通に通うだけでもその身体に負担が掛かる事を思えば、準備で立て込み、多忙であろう学校に行かせていいものかどうか、私は迷っていた。
行けば見ているだけという訳にも行かないだろう。
第一、彼女は参加したがっている。それは只屋台を冷やかしたり、観劇したりといった事ではないだろう。
先生や同級生は気を遣って過剰な労働を彼女に頼む事はないだろうが、残念ながらその気遣いは克美を更に孤独にさせる。彼女だって解ってはいる。もし、自分が無理をして倒れでもしたら、尚更皆に迷惑を掛ける事になるのは。だから、克美自身も無理にとは言わないだろう。
だから、今こうして呟くだけに留めているのだ。
飼い猫の、私の前で。
とある昼寝時、私は夢を見た。
克美になった夢だった。
窓際迄一息に飛び上がれる私の身体と比べて、克美のそれは重く、僅かの運動で息が切れた。ヒトの身体はもっと色々な事が出来ると思っていたけれど……私は直ぐにうんざりした。傍で見ていた克美の母が心配する事もあり、私は早々に、又まどろみに落ちた。
目を覚ますと、克美が些か興奮気味に、私に話し掛けた。
夢の中で私になっていたのだ、と。羽の様に軽い身体で、学校に迄行って、皆が準備に追われているのを見て来たのだと。校庭で看板を作っていた同級生の様子をじっと見ていたり……。
結局は見ているだけだったんだけどね、と克美は苦笑した。
その日からだろうか、私達は午睡中に時折、入れ替わりの夢を見るようになった。
そして創立祭の日、幾らか状態のよかった克美は登校した。勿論、自分の身体で。
夢で見てはいたものの、結局何の手伝いも出来なかった事で、些か気後れしている風だったが……。
帰って来た時、彼女は私を抱き上げて笑顔でこう言った。
「夢で見た通りだったのよ、学校の様子。飾り付けも、何もかも。そうそう、クラスメートが描いた看板にね、お前そっくりの猫が描かれていたのよ。いつもじっと見ていて、印象に残ったんだって」
それは……もしかしたら、あれは夢などではなかったのかも知れないよ? 克美。
私の身体と克美の意識――看板は、それが確かに創立祭に参加していた、証なのかも知れない。
―了―
眠いっすzzz
学校の創立六十周年の記念として、かなり華やかな祭が計画されているらしいのだ。屋台が出たり、演劇があったり、歌があったり……それだけを聞くと、丸で文化祭みたいだけれど。
幼い頃から病弱で普段から休みがちな克美は、それでなくても登校したくて仕方ない様だ。
けれど、普通に通うだけでもその身体に負担が掛かる事を思えば、準備で立て込み、多忙であろう学校に行かせていいものかどうか、私は迷っていた。
行けば見ているだけという訳にも行かないだろう。
第一、彼女は参加したがっている。それは只屋台を冷やかしたり、観劇したりといった事ではないだろう。
先生や同級生は気を遣って過剰な労働を彼女に頼む事はないだろうが、残念ながらその気遣いは克美を更に孤独にさせる。彼女だって解ってはいる。もし、自分が無理をして倒れでもしたら、尚更皆に迷惑を掛ける事になるのは。だから、克美自身も無理にとは言わないだろう。
だから、今こうして呟くだけに留めているのだ。
飼い猫の、私の前で。
とある昼寝時、私は夢を見た。
克美になった夢だった。
窓際迄一息に飛び上がれる私の身体と比べて、克美のそれは重く、僅かの運動で息が切れた。ヒトの身体はもっと色々な事が出来ると思っていたけれど……私は直ぐにうんざりした。傍で見ていた克美の母が心配する事もあり、私は早々に、又まどろみに落ちた。
目を覚ますと、克美が些か興奮気味に、私に話し掛けた。
夢の中で私になっていたのだ、と。羽の様に軽い身体で、学校に迄行って、皆が準備に追われているのを見て来たのだと。校庭で看板を作っていた同級生の様子をじっと見ていたり……。
結局は見ているだけだったんだけどね、と克美は苦笑した。
その日からだろうか、私達は午睡中に時折、入れ替わりの夢を見るようになった。
そして創立祭の日、幾らか状態のよかった克美は登校した。勿論、自分の身体で。
夢で見てはいたものの、結局何の手伝いも出来なかった事で、些か気後れしている風だったが……。
帰って来た時、彼女は私を抱き上げて笑顔でこう言った。
「夢で見た通りだったのよ、学校の様子。飾り付けも、何もかも。そうそう、クラスメートが描いた看板にね、お前そっくりの猫が描かれていたのよ。いつもじっと見ていて、印象に残ったんだって」
それは……もしかしたら、あれは夢などではなかったのかも知れないよ? 克美。
私の身体と克美の意識――看板は、それが確かに創立祭に参加していた、証なのかも知れない。
―了―
眠いっすzzz
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Re:こんにちは♪
猫に替わって、ごろごろごろごろ♪
キーちゃんが代わりに学校へ……(笑)
キーちゃんが代わりに学校へ……(笑)
Re:こんばんは
もう既に充分、変な言葉覚えているかと(苦笑)
巽……扱い難い~(笑)
巽……扱い難い~(笑)
Re:無題
夜霧なら、充分、あり得る!?(爆)
Re:こんにちは♪
有難うございます(^-^)
偶にはキキちゃんと入れ替わって、好き放題! とか(笑)
偶にはキキちゃんと入れ替わって、好き放題! とか(笑)