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「昇進目指して、頑張って下さいね」そう励ましつつ、何かといい情報を回してくれる部下の笑顔と、五歳になる息子の寝顔を思い出しながら、男は日々、遅くなる迄頑張った。
もう一つ昇進すれば、この安普請の社宅から、幹部用の高級な社宅――と言ってもこちらは一戸建てで、腕白盛りの息子を遊ばせてやれそうな庭も付いている――に移れる。
それにそうなれば、社宅の下階で母親と二人暮しをしている部下の彼女にも……。妻を亡くし、忙しい自分に代わって、休みの度に遊びに連れ出してくれている彼女には、息子も懐いている。もしかしたら、彼女も……?
男は更に仕事に没頭した。
そして遂に昇進なった日、男は彼女に告白した。
自分と一緒に新しい社宅に来てくれないか、と。
彼女はにっこりと笑って、言った。
「昇進おめでとうございます。これで幾ら言っても上の階でどたばた走り回る息子さんからも、それを煩がって愚痴ばかり言う私の母からも解放されます。情報を回した甲斐がありました」
唖然とする男に、彼女は語った。
元々仕事で遅く迄帰らない男は知らなかったが、息子の騒音は社宅内でも有名で、直下の部屋の彼女は特に迷惑していたのだと。休みの度に連れ出したのも、母の愚痴から逃れる為でもあったらしい。
「母なんかはちょっと――躾も出来ないなら子供作るんじゃないよ、とか何とか――不穏当な事も呟いてましたけど、私は平和主義ですから。早く昇進して、あちらに移って頂きたかったんですよ。合法的に出て行って頂けて、何よりです」
あの日と同じ屈託のない笑顔で、彼女は二人を送り出したのだった。
―了―
や、集合住宅に躾の出来ない親って迷惑千万。
一日中走り回ってる子なんか居た日にゃ、堪ったもんじゃない★
うちの上の子も何歳なのか、矢鱈元気なお子さんで(--メ)
猫さんの足音は、高い所から飛び降りでもしなければ……?
でも、大運動会があるか(^^;)