〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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その時は不思議と直前に犯してしまった罪と、辺りに満ちる血の匂いを実感しなかったよ。
でも、それはきっと、僕等を無視してきた周囲の人間へ報復したいという思いが強かった所為なのかも知れない。一種の充足感が、僕の感覚を麻痺させていたんだと思う。
でも、昨日改めて自覚した罪と共に、僕等は精神的な牢獄に安住する羽目になる筈だったみたいだ。
だから、今こうして僕等は、逃げている。帰るべき場所を目指して。
逃げずに戻った方がいい、と連れは言った。彼等――ある者は喉を掻き切られ、ある者は鈍器で打ち据えられ、いずれも僕等の足元に転がった人間達――は決して敵ではなかった筈だと。治療の為に来てくれていたのだと。
僕はそれに対して反駁した。
確かに奴等は治療――と、もしかしたら研究――の為に来たのだろう。だが、それは僕等の為になるか? 僕等は無視されたのではなかったか?
確かに話を聞いてはくれたさ。あくまで、研究対象として。そして、排除すべき対象として。
でも、と連れも言葉を返す。この儘逃げて、僕等は元より……彼に益があるのかと。
僕はにやり、と口元だけで笑う。
彼――僕等の主人格に益など無い、と。
ここで奴等が言っていた様に僕等別人格がその主人格と統合してしまえば、彼の罪に対して、これ迄の様に心神耗弱など精神的な理由を振り翳しての弁護は難しくなるだろう。
寧ろ、これ迄多重人格を装っていたのを見破られそうになって医師達を殺して逃げた――そう見られても仕方ない。
彼に対して保護的な役割を勤めていた連れは、僕を非難した。彼が危地に陥ると解っていてやったのかと。
当たり前だ。
別人格に支配されて殺人鬼になっていた――そう主張する主人格が、その言い訳の為に作り出した人格こそが僕なのだから。
ああ、確かに彼は多重人格だった。少なくとも僕を含めて二人以上の別人格を住まわせていた。
だが――本当の殺人鬼は、主人格だけだった。
奴等を殺したのは確かに僕だ。殺人鬼ではない僕としては、その事には些かの申し訳なさと、後悔の念を抱かないでもない。利用した事には違いないのだ。
僕が本当に報復したかったのは、主人格只一人だったから。
だから、彼等を利用した事を無駄にしない為にも、僕等は帰るよ。
唯一、捕えられる実体を持つ、彼の心の中に。
―了―
別人格舐めたらあかんでー(?)
でも、それはきっと、僕等を無視してきた周囲の人間へ報復したいという思いが強かった所為なのかも知れない。一種の充足感が、僕の感覚を麻痺させていたんだと思う。
でも、昨日改めて自覚した罪と共に、僕等は精神的な牢獄に安住する羽目になる筈だったみたいだ。
だから、今こうして僕等は、逃げている。帰るべき場所を目指して。
逃げずに戻った方がいい、と連れは言った。彼等――ある者は喉を掻き切られ、ある者は鈍器で打ち据えられ、いずれも僕等の足元に転がった人間達――は決して敵ではなかった筈だと。治療の為に来てくれていたのだと。
僕はそれに対して反駁した。
確かに奴等は治療――と、もしかしたら研究――の為に来たのだろう。だが、それは僕等の為になるか? 僕等は無視されたのではなかったか?
確かに話を聞いてはくれたさ。あくまで、研究対象として。そして、排除すべき対象として。
でも、と連れも言葉を返す。この儘逃げて、僕等は元より……彼に益があるのかと。
僕はにやり、と口元だけで笑う。
彼――僕等の主人格に益など無い、と。
ここで奴等が言っていた様に僕等別人格がその主人格と統合してしまえば、彼の罪に対して、これ迄の様に心神耗弱など精神的な理由を振り翳しての弁護は難しくなるだろう。
寧ろ、これ迄多重人格を装っていたのを見破られそうになって医師達を殺して逃げた――そう見られても仕方ない。
彼に対して保護的な役割を勤めていた連れは、僕を非難した。彼が危地に陥ると解っていてやったのかと。
当たり前だ。
別人格に支配されて殺人鬼になっていた――そう主張する主人格が、その言い訳の為に作り出した人格こそが僕なのだから。
ああ、確かに彼は多重人格だった。少なくとも僕を含めて二人以上の別人格を住まわせていた。
だが――本当の殺人鬼は、主人格だけだった。
奴等を殺したのは確かに僕だ。殺人鬼ではない僕としては、その事には些かの申し訳なさと、後悔の念を抱かないでもない。利用した事には違いないのだ。
僕が本当に報復したかったのは、主人格只一人だったから。
だから、彼等を利用した事を無駄にしない為にも、僕等は帰るよ。
唯一、捕えられる実体を持つ、彼の心の中に。
―了―
別人格舐めたらあかんでー(?)
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フロイト学派のようだぁー^^v
こんにちはー^^
今日の小説の話題は、多重人格なのね。。。なのかな?
私が外面と内面の自分に気付いたのが中学時代^^v
更に、心の奥底に「誰かいる・・・」って思って、探り出したのが高校時代。
「誰か・・・」を「冷酷な目を持つもの」と命名したのが浪人時代。
大学時代に意識・無意識・深層心理だったのか?きっとそうだぁー^^/ ←芸大出身者の私ですwwwww
自分の内面へダイブして作品作ってたから^^;;;www
うーん、懐かしいなぁー(*^o^*) テレテレ
あ、そうだ!
巽さんのブログを私のブログのサイドメニュー「みんなお友達リンク」に乗せちゃいました^^v
事後報告で申し訳ございません^^;
このまま、リンク載せててもいいですか^^v
ではではー^^/
今日の小説の話題は、多重人格なのね。。。なのかな?
私が外面と内面の自分に気付いたのが中学時代^^v
更に、心の奥底に「誰かいる・・・」って思って、探り出したのが高校時代。
「誰か・・・」を「冷酷な目を持つもの」と命名したのが浪人時代。
大学時代に意識・無意識・深層心理だったのか?きっとそうだぁー^^/ ←芸大出身者の私ですwwwww
自分の内面へダイブして作品作ってたから^^;;;www
うーん、懐かしいなぁー(*^o^*) テレテレ
あ、そうだ!
巽さんのブログを私のブログのサイドメニュー「みんなお友達リンク」に乗せちゃいました^^v
事後報告で申し訳ございません^^;
このまま、リンク載せててもいいですか^^v
ではではー^^/
Re:フロイト学派のようだぁー^^v
おお、芸大出身ですか(@0@)
多重人格も突き詰めると何処からが確固とした別人格が存在するものなのか、茫洋と内面に対話する相手が居るだけなのか、判別が難しそうですな。
脳を解剖してもその影が在る訳でなし。
リンク、勿論OKですよー\(^▽^)/
多重人格も突き詰めると何処からが確固とした別人格が存在するものなのか、茫洋と内面に対話する相手が居るだけなのか、判別が難しそうですな。
脳を解剖してもその影が在る訳でなし。
リンク、勿論OKですよー\(^▽^)/
Re:(__;)
や、実際どこら辺からが多重人格と判断されるのかと(^^;)
飲み会で盛り上がっててもどこか冷静に帰宅時間を計算してる自分とか、腹を立てている時でもその自分を宥めている自分とか、別人格とは行かない迄も一人の人間の中には色んな意識があると、私も思いますよ。
飲み会で盛り上がっててもどこか冷静に帰宅時間を計算してる自分とか、腹を立てている時でもその自分を宥めている自分とか、別人格とは行かない迄も一人の人間の中には色んな意識があると、私も思いますよ。
無題
多重人格って単細胞人格な私(笑)には想像しにくいです(^^;
多分日本では違う感情をまあまあと宥めて境界をぼかしてどっちも自分に言い包めてしまう傾向があるような。
教育や教義等による干渉が強い状況では、その干渉が境界を際立たせて多重人格が発生しやすい?
元は多重人格でない犯罪者で、自己防衛のため無意識が自己を騙すことはよくある気もする。
多分日本では違う感情をまあまあと宥めて境界をぼかしてどっちも自分に言い包めてしまう傾向があるような。
教育や教義等による干渉が強い状況では、その干渉が境界を際立たせて多重人格が発生しやすい?
元は多重人格でない犯罪者で、自己防衛のため無意識が自己を騙すことはよくある気もする。
Re:無題
元々多重人格でもないのに「俺の中の悪魔が……!」とか言う奴ですね。
多重人格障害というのも、元は精神的な自己防衛らしいですからねぇ。そういう事言ってる内に、本当に何かが目覚めたりして……。
多重人格障害というのも、元は精神的な自己防衛らしいですからねぇ。そういう事言ってる内に、本当に何かが目覚めたりして……。