〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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もーいーかい?
もーいーよ!
幼い声でのそんなやり取りがあった後、寺の裏の林の中は静まり返った。聞こえるのは只、一人の子供が枯葉を掻き分け、進む音だけ。その音に反応して忍び笑いや身を竦める気配が、生じ掛けては押し殺されている。
かくれんぼをするには絶好の場所だった。
濃い葉陰、子供が登るには程よい木々、点在する岩。
尤も、鬼の方も心得ていて、先ず自分なら隠れるだろう場所から探し始め、直ぐに二、三人を見付けてその名を呼んだ。致し方ないという顔で、子供がそれぞれの隠れ場所から姿を現す。
と、風が止んだ一瞬だと言うのに、絨毯の様に広がる枯葉が吹き上がる様に、舞った。
真逆――と鬼がその辺りに爪先で探りを入れると、枯葉が爆発する様に舞い散り、観念したらしき男の子が笑いながら身を起こした。
「忍者かよ!」如何に落ち葉が積もっているとは言え、余りな隠れ場所に鬼役は思わず突っ込みを入れていた。
尤も言われた本人は頭や服に付いた枯葉を落とすのに手一杯だったが。
鬼役は気を取り直し、人数を数えた。一、二、三、四……五人。
「何だ、これで全部じゃないか。呆気なかったな」
「んじゃ、今度お前隠れろよ、あっさり見付けてやるから」
「俺が隠れるのは当たり前じゃないか。頑張れよ、鬼さん」
そして樹の幹に顔を伏せた新たな鬼をその場に残し、子供達は隠れ場所を捜す。
もーいーかい?
もーいーよ!
新たな鬼は枯葉の底の底迄、探る様に歩いて行った。が、そんな所に潜り隠れるのはそうそう居ないと知ると、視線を上に転じた。すると頭上の木の枝に幾人かの影。目の上に手で庇を作り、逆光をなるべくカットしながら、彼はそれを見極め、名前を呼んでいく。
そして降りてくる人数を数えて、満足そうに頷いた。
「よし、これで六人全員だな」
やがて次の鬼の番に回り――。
もーいーかい?
もーいーよ!
やるごとに一人ずつ、増えていく事に彼等は何故か疑問を口にしなかった。丸で元から、それだけの人数が居たかの様に、自然と次の遊びに入って行く。
その内冬の日差しもとっぷりと暮れ始め――。
「じゃあ、また明日ー」
「おう、気を付けて帰れよ。小さい子はちゃんと近い奴が送って行くんだぞ!」
「解ってるって!」
「兄ちゃん待ってよ」
わいわいと帰って行く子供達。
そしてそれを見送る子供達――その笑みがふっと掻き消す様に消え、ゆっくりと、名残りを惜しむ様にその姿は、地へと消えて行った。
かつて土葬だったこの土地では、寺の裏の墓地を移転した後でも、時折遺骨が発見されると言う。
―了―
最初の鬼+三人が実体。後は……くっくっくっ(←誰)
単に遊びたかっただけらしい。
もーいーよ!
幼い声でのそんなやり取りがあった後、寺の裏の林の中は静まり返った。聞こえるのは只、一人の子供が枯葉を掻き分け、進む音だけ。その音に反応して忍び笑いや身を竦める気配が、生じ掛けては押し殺されている。
かくれんぼをするには絶好の場所だった。
濃い葉陰、子供が登るには程よい木々、点在する岩。
尤も、鬼の方も心得ていて、先ず自分なら隠れるだろう場所から探し始め、直ぐに二、三人を見付けてその名を呼んだ。致し方ないという顔で、子供がそれぞれの隠れ場所から姿を現す。
と、風が止んだ一瞬だと言うのに、絨毯の様に広がる枯葉が吹き上がる様に、舞った。
真逆――と鬼がその辺りに爪先で探りを入れると、枯葉が爆発する様に舞い散り、観念したらしき男の子が笑いながら身を起こした。
「忍者かよ!」如何に落ち葉が積もっているとは言え、余りな隠れ場所に鬼役は思わず突っ込みを入れていた。
尤も言われた本人は頭や服に付いた枯葉を落とすのに手一杯だったが。
鬼役は気を取り直し、人数を数えた。一、二、三、四……五人。
「何だ、これで全部じゃないか。呆気なかったな」
「んじゃ、今度お前隠れろよ、あっさり見付けてやるから」
「俺が隠れるのは当たり前じゃないか。頑張れよ、鬼さん」
そして樹の幹に顔を伏せた新たな鬼をその場に残し、子供達は隠れ場所を捜す。
もーいーかい?
もーいーよ!
新たな鬼は枯葉の底の底迄、探る様に歩いて行った。が、そんな所に潜り隠れるのはそうそう居ないと知ると、視線を上に転じた。すると頭上の木の枝に幾人かの影。目の上に手で庇を作り、逆光をなるべくカットしながら、彼はそれを見極め、名前を呼んでいく。
そして降りてくる人数を数えて、満足そうに頷いた。
「よし、これで六人全員だな」
やがて次の鬼の番に回り――。
もーいーかい?
もーいーよ!
やるごとに一人ずつ、増えていく事に彼等は何故か疑問を口にしなかった。丸で元から、それだけの人数が居たかの様に、自然と次の遊びに入って行く。
その内冬の日差しもとっぷりと暮れ始め――。
「じゃあ、また明日ー」
「おう、気を付けて帰れよ。小さい子はちゃんと近い奴が送って行くんだぞ!」
「解ってるって!」
「兄ちゃん待ってよ」
わいわいと帰って行く子供達。
そしてそれを見送る子供達――その笑みがふっと掻き消す様に消え、ゆっくりと、名残りを惜しむ様にその姿は、地へと消えて行った。
かつて土葬だったこの土地では、寺の裏の墓地を移転した後でも、時折遺骨が発見されると言う。
―了―
最初の鬼+三人が実体。後は……くっくっくっ(←誰)
単に遊びたかっただけらしい。
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Re:無題
そんで誰か一人位探し忘れられたりして……それはそれで……ごほん(笑)
Re:こんばんは
そそ、遊びたかっただけ♪
害意は全く無いんだわ、これが。
害意は全く無いんだわ、これが。
Re:おはようございます♪
座敷童子の話じゃないけど、いつの間にか増えてる、なのにそれが誰か判らない、みたいな感じで(^^;)
メリークリスマス♪
遊びに夢中になってると怖さも感じない?
と言うか人数増えても気にしないんだネ!
今日はイヴですねぇ~!
楽しいクリスマスを過ごしてくださいネ♪
家はいつもと変わらないんだけど・・・・(笑)
と言うか人数増えても気にしないんだネ!
今日はイヴですねぇ~!
楽しいクリスマスを過ごしてくださいネ♪
家はいつもと変わらないんだけど・・・・(笑)
Re:メリークリスマス♪
うちも変わらないよ~(^^)
浮かれる歳でもないしさ~☆
クーピーさんも良いクリスマスを♪
浮かれる歳でもないしさ~☆
クーピーさんも良いクリスマスを♪
Re:こんばんわ!
有難うございます(^^)
子供は大人に比べて超自然的なものに近い感じですからね~。
子供は大人に比べて超自然的なものに近い感じですからね~。
Re:こんにちは
どちらかと言うと、幽霊?(^^;)
子供が安心して遊べる場所、親も安心して遊ばせられる場所、確かに減ってますねぇ。家の中だけじゃ不健康だし……。
子供が安心して遊べる場所、親も安心して遊ばせられる場所、確かに減ってますねぇ。家の中だけじゃ不健康だし……。