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「やぁ、ありす。君はいつも変わらないねぇ」
「貴方は……年老いたわね。ところでこの鍵は本当に要らないの?」何処からともなく現れて、小首を傾げたのは十歳ばかりの少女だった。栗色の髪に青いリボンがよく似合っている。青い服もまた然り。
「……」返って来たのは沈黙。
「貴方が望んでいると感じて、私は鍵を持って来たのだけれど……貴方は頑なに受け取らない。そこから出たくはないの?」
「……それは……出たいよ。もう何年になるのか……この家を出た妻を捜しに行きたい。けれど出ようとした矢先にその鍵が私の動きを止めてしまった」
「だからこその鍵じゃない? 拒む理由があるの?」
「……この鍵を使って迄、私を此処に留めようとした人を裏切る事は出来ない。彼女が出て行った後、酷く悲しんでいた……」
「行きたい所があって、鍵も手に入るのに、出られない……という事ね」少女は肩を竦めた。「でも、こう言っては何だけど、貴方に残された時間はもう余り無いわよ」
「やれやれ、厳しいなぁ、ありすは」奇妙な笑い声が漏れる。「けれど……そうなったらそれこそ私は自由だよ。あの人も死迄は食い止める事は出来ない」
やれやれ、と少女は再び肩を竦める。
「人の魂は死して鳥になり、天に昇るという話もあるけれど……既に翼を持っているのに自ら縛られているなんてね」
「仕方ないさ。私はこれこの通り――籠の鳥だ」
湾曲した嘴を持った鸚鵡が、籠の中で甲高い声を上げ、緑に彩られた翼を広げた。
「ご苦労様」少女は暫し考えた後、鍵を鍵束に繋いだ。
あの分では「彼」はそれこそ死によって解き放たれる迄、あの鳥籠を出ようとはしないだろう。この鍵は、最早無用の長物だ。
「鳥頭――鳥は三歩歩くと物を忘れる――なんて失礼な言い草だわ。彼は脱走した彼女の事も、飼い主の涙も、忘れてはいないのにね。それに……」
彼女は夜空を仰ぎ見た。そこには闇夜に白く浮かび上がる鳥の姿。
「貴女も、死して後も忘れてなんていないのにね。ま、もう少し待ってあげるのね……もう少し」
呟く様にそう言って、少女は何処へともなく姿を消した。
―了―
テレビ見てたら遅くなったので短めに☆
夜霧、サボったしー☆
鍵束……歩いただけでじゃらじゃらいいそう(爆)
鸚鵡は案外頭良いし、器用ですからね~。使い方さえ解っていれば簡単な道具は使っちゃいますよ♪
オウムだったのね~。(笑)
ありす、守備範囲が広過ぎるぞ。(笑)
夜霧先生は、もう既に正月休暇に入られたようです。(爆)
夜霧め~。飼い主が年内ぎりぎり迄仕事だってのに、勝手に休むとは☆
ありすの守備範囲……人間から妖迄(動物含む・爆)
飼い主も少し考えて窓閉めてから扉を開ければ逃げられなかったのにな……
飼い主思いの鳥さん。
相方がいない事も、飼い主との別れも、悲しいだろうね。
でも、鍵――もしくはそれに類するものを――使えないと駄目だからなぁ、ありすのお客(?)は。