〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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誰も居ない――街をつぶさに見て回り、そこが完全な無人である事を確信して、美和子は茫然と立ち竦んだ。こんな所があるなんて……?
ドライブが彼女の趣味で、今日も山道を走っている内、ガソリンが心許なくなり、カーナビに導かれてこの名も知らぬ無人の街に辿り着いたのだった。
だが、ここは山奥の遺棄された集落などではない。近代的なビルが立ち並ぶ、大都会と迄は言えないもののそれなりの、街だ。コンビニには明かりが灯り、空調も起動している。
只、動く物は動物も含めて見当たらず、勿論電車等も動いていない。
彼女以外通る者もない道路で、信号機だけが律儀に点灯している、そんな光景に薄ら寒さを感じて、美和子は早々に此処を立ち去る事にした。
セルフのガソリンスタンドで給油し、彼女は元来た道へとハンドルを切った。
途中、喉の渇きを感じてコンビニに立ち寄り、しかし誰も居ない店内には足を踏み入れる気になれず、外の自販機で清涼飲料水を買った。
何だか街だけが勝手に生きているみたいだ――街を後にし、バックミラー越しのその景色に彼女はふと、無意識に溜めていた息をついた。
人が居なくても取り敢えず困らない。
けれどそれは酷く寂しい光景に見えて……。そもそも、彼等は一体何処へ行ったのだろう?
その夜、彼女は知った。
とある一つの街に生物兵器を使用したテロの予告があり、住人全員が避難していたのだと。
首都圏でもない地方都市、然も予告された時刻を過ぎても何ら変化はなく――住人の避難が迅速であった為に効果は薄いと中止されたのか、あるいは悪質な悪戯だったのか、情報源の確実性が審議されていた。
〈兎も角、今回の疫学的検査では、それらしき既知の病原体は検出されなかったという事です〉
ニュースで専門家らしき背広の男が言っていた。
〈そもそも何故あんな地方都市を対象としたのかも解りませんし……。愉快犯の犯行だとしたら、犯人を喜ばせる結果となってしまいましたね。住人全員を避難させるなんて〉
〈しかし、もしもの事があれば……〉
テレビでは、今回の対応についての非難と擁護が渦巻いていた。
だが、そんな事よりも美和子には気になる事があった。
それらしき既知の病原体は検出されなかった――未知のものであったら?
混乱を恐れてだろうか、街の詳細な位置はニュースでは告知されていなかった。尤も、聞いたとしても美和子はあの街の名を知らない。
もし、昼間迷い込んだのがその街だったら? そしてもし、テロが予告通り、然も道の病原体を用いて実行されていたとしたら?
「……」
念の為に一週間程は無人の儘に置かれるという街を、彼女は再び目指した。
潜伏期間がどれ程かも解らない、感染したらどうなるかも解らない、そもそも本当に感染の可能性があるのかも解らない――それが周りにうつるのを恐れて。
そして二週間後――彼女は誰一人戻って来ない街に、住み続けていた。
この街への予告はフェイクであり、テロが実行されたのは主要都市だったと知ったのは一週間前だった。
―了―
うーむ、イマイチ纏まらない(--;)
ドライブが彼女の趣味で、今日も山道を走っている内、ガソリンが心許なくなり、カーナビに導かれてこの名も知らぬ無人の街に辿り着いたのだった。
だが、ここは山奥の遺棄された集落などではない。近代的なビルが立ち並ぶ、大都会と迄は言えないもののそれなりの、街だ。コンビニには明かりが灯り、空調も起動している。
只、動く物は動物も含めて見当たらず、勿論電車等も動いていない。
彼女以外通る者もない道路で、信号機だけが律儀に点灯している、そんな光景に薄ら寒さを感じて、美和子は早々に此処を立ち去る事にした。
セルフのガソリンスタンドで給油し、彼女は元来た道へとハンドルを切った。
途中、喉の渇きを感じてコンビニに立ち寄り、しかし誰も居ない店内には足を踏み入れる気になれず、外の自販機で清涼飲料水を買った。
何だか街だけが勝手に生きているみたいだ――街を後にし、バックミラー越しのその景色に彼女はふと、無意識に溜めていた息をついた。
人が居なくても取り敢えず困らない。
けれどそれは酷く寂しい光景に見えて……。そもそも、彼等は一体何処へ行ったのだろう?
その夜、彼女は知った。
とある一つの街に生物兵器を使用したテロの予告があり、住人全員が避難していたのだと。
首都圏でもない地方都市、然も予告された時刻を過ぎても何ら変化はなく――住人の避難が迅速であった為に効果は薄いと中止されたのか、あるいは悪質な悪戯だったのか、情報源の確実性が審議されていた。
〈兎も角、今回の疫学的検査では、それらしき既知の病原体は検出されなかったという事です〉
ニュースで専門家らしき背広の男が言っていた。
〈そもそも何故あんな地方都市を対象としたのかも解りませんし……。愉快犯の犯行だとしたら、犯人を喜ばせる結果となってしまいましたね。住人全員を避難させるなんて〉
〈しかし、もしもの事があれば……〉
テレビでは、今回の対応についての非難と擁護が渦巻いていた。
だが、そんな事よりも美和子には気になる事があった。
それらしき既知の病原体は検出されなかった――未知のものであったら?
混乱を恐れてだろうか、街の詳細な位置はニュースでは告知されていなかった。尤も、聞いたとしても美和子はあの街の名を知らない。
もし、昼間迷い込んだのがその街だったら? そしてもし、テロが予告通り、然も道の病原体を用いて実行されていたとしたら?
「……」
念の為に一週間程は無人の儘に置かれるという街を、彼女は再び目指した。
潜伏期間がどれ程かも解らない、感染したらどうなるかも解らない、そもそも本当に感染の可能性があるのかも解らない――それが周りにうつるのを恐れて。
そして二週間後――彼女は誰一人戻って来ない街に、住み続けていた。
この街への予告はフェイクであり、テロが実行されたのは主要都市だったと知ったのは一週間前だった。
―了―
うーむ、イマイチ纏まらない(--;)
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Re:生物兵器
生物兵器……最近やウイルスなんて、目に見えない間に感染し、人を害しますからねぇ。新種でも作られたら対応が追い付かないし。
ある意味最悪なテロですな(--メ)
ある意味最悪なテロですな(--メ)
Re:こんばんは
有難うね~♪
誰も居ない街って色々と想像出来そうで、舞台としては面白いかも。
誰も居ない街って色々と想像出来そうで、舞台としては面白いかも。
Re:一人…
ラスト一人は……何か嫌ですよね(T-T)