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「もう庭で花火って気分じゃないんだけど」薄手のカーディガンを羽織りながら、友花は言った。
「いや、まぁ、俺もそうなんだけどさ」頭を掻きつつ、俺は花火セットとライター、そしてバケツを手に取った。「残っちまったし……」
「来年やれば?」
「湿気たら嫌だろう。それに……何か、やらなきゃ落ち着けないんだ」
「……」それ以上は何も言わず、友花はドアを開けた。
バケツに水を満たし、庭木を避けて、花火に火を点ける。
澄んだ秋の夜空の下、鈴虫の音が鳴り響く中、花火から勢いよく色が溢れ出す。
その色は決して、夏に見たものと変わらない。だのに、何故だろう。どこかしら、物寂しげに見える。夏にやった時にははしゃいでいた友花も、妙に神妙な顔で、その彩りを眺めている。
「可笑しいね。イベントの打ち上げ花火なんかは冬でもテンション上がるのに、何かこういうの……寂しいね」彼女もやはり、そう感じている様だ。
涼しい秋風の所為か? 虫の音の所為か?
それとも……いつか花火をやろうと約束した儘、結局この夏、病院から帰って来なかったあいつの所為か……?
庭には様々な色が溢れた。
俺達は歓声を上げる事もなく、只それを眺めていて――やがて最後の一本に手を伸ばしたのは、俺だった。
「やっぱり最後はこれなんだね」友花が微苦笑する。
俺の手にあるのは細い、線香花火。
あいつが一番好きだった花火。
静かに火を点ける。
細かかった火花が徐々に大きくなり、菊花にも似た模様を、闇に描く。だが、それもほんの僅かの間で、火花が治まってくると同時に先に小さな鬼灯の様な赤が灯る。俺は吹き付ける秋風から守る様にそっと空いた手で囲い、少しでも長く持たせようとした。
ほんの数十秒後、一際赤く輝いた後、それはぽとりと落ちて色を失った。
「……終わっちゃったね……」しみじみと、友花が言った。
「終わっちまったな」やはりしみじみと、俺も言った。
途端に風が冷たく感じられて、俺達は急いで後片付けをして、家に入る事にした。
庭に水を撒き、火の気が完全に無い事を確認して、庭に背を向けた時、風に漂う様な声が、俺達の耳を掠めた。
〈また来年、やろうね〉
「……」俺達は暫し、顔を見合わせた。今の声が本当に聞こえたものだったのか、互いに確認する様に。
そしてどちらからともなく、頷き、頬を緩めた。
「ああ、また来年な」
―了―
秋ですね~。
そういえば、花火って最近したことないなぁー^^;www
ううぅー、なんか切ない小説だ(T_T) ウルウル
そういえば・・・・と、ここで一句^^v
澄み切った
月光照らす
庭先で
儚き花火
足にポトリと・・・熱っっっーーーー!><;w
私も最近、花火やってないなぁ(^^;)
花火、子供の頃は殆ど毎年、やったもんだけど、大人になるとなかなかね~。
線香だからいかんのです。
大黒柱花火はどうでしょう。
ひとかかえもある大木をクレーンで吊り下げて火花があちこちに10メートルぐらい飛んで、最後は直径1メートルもある火の玉がドーンと落ちて地面に大穴が開くんです(調子に乗りすぎた…笑)
大黒柱クレーターが出来てしまう~(爆)