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教師である夜霧は兎も角、亀池は栗栖と進学について何を話していたんだろう――?
亀池と言えば同室の桃山と喧嘩騒ぎ――偽装だったけど――を起こして寮内で他の生徒の部屋を泊まり歩いてみたり、部屋の窓が開いていたと言っては騒いでみたり――こっちはまぁ、仕組まれたものだったんだけど――何かとお騒がせ、かつ臆病な生徒だった。
その彼が自棄に熱心に栗栖と話していたのを見掛けて、僕は首を傾げたのだった。
大体、うちの学園はエスカレーター式。余程成績や素行に問題がなければ、進学で悩む事はない筈だ。
「特に成績が悪いとは聞いてないがなぁ」僕と同じ様に首を捻ったのは我が双子の兄、京だった。
と言うか、何で人の成績の良し悪し迄把握してるんだ、京。
「寮内で特に成績に問題のある生徒が居れば、勉強会を開くんだが、亀池を誘った事はないからな」
寮の纏め役とは言え、職権濫用気味じゃないのか? 兄貴よ。
「寮で勉強会迄しなくても……」僕は流石に苦笑する。
「何を言う」極めて真面目な顔で京は言った。「そもそも自発的に勉強する奴は放っといてもそれなりの成績を出すだろう。だが、成績の悪い奴は放って置いたら先ず、自発的に勉強なんぞ、せん。なら、態々やる切っ掛けを作るしかないだろうが」
果たして京の勉強会がその切っ掛けになるのかどうか――取り敢えず、参加して成績を落とした者は居ないらしいけれど。ま、参加させられたら、やるしかないもんなぁ。気の毒に……。
「違う大学に進学する予定って事は?」僕は別の可能性を提示した。
前述の通りエスカレーター式の本学園だが、中には地元に帰る、より専門色の濃い所を希望する、等の理由で別の大学に進学する者も居る。
尤も、そうだとしても栗栖に話してどうなるのか? 栗栖自身は関西からの編入生だから、関西方面には僕達よりは詳しいかも知れないけれど。真逆、関西方面の大学に進学する予定なのか?
「そんな話も聞いてないなぁ」と、京。だから、何でそんな事迄把握してるんだよ?「大体、そうだとしても、栗栖だって大学の事なんて詳しくは知らないだろう」
「そうだよね……。そう言えば、栗栖はどうするんだろう? 高校からの編入だったけど、やっぱりこっちで進学するのかな? もし、向こうに帰る心算だったら、向こうの大学の事も調べていて、亀池はそれを当てにしたっていう可能性もあるけど」
「地元に帰るという話は聞いていないな」僅かに、京の眉間に皺が寄る。流石にはっきりとは知らなかったのか、それとももしかして、栗栖が関西に帰るという想像が気に入らなかったのか。普段は栗栖に対して妙に攻撃的な癖に、一応、一目は置いているらしいのだ。
「と言うか、そんなに気になるなら、直接訊いてみればいいじゃないか」面倒臭くなったのか、京はそう言って席を立った。
結局、そこに行き着くんだな、京。
単刀直入。有言実行。
僕が追い掛ける間もあらばこそ、京は隣の栗栖の部屋のドアをノックした。
「亀池の話?」一瞬、何の事かと言う様に栗栖は目を丸くした。が、やがて、ああ、と頷いて破顔した。「何や。そない真剣な顔してくるから、どんな大事件かと思うたら……。只の世間話や」
「進学に関しての話じゃなかったのか?」京が眉根を寄せる。ちょっと、横目で僕を睨んでいる。
「進学は進学やけど、そない真剣な話やないで? 大学部に俺の知り合いが居って――そもそもその知り合いの勧めで此処に来たんやけどな――幾らか話聞いてる言うたら、ちょっと訊きたい事がある、言うて来ただけや」
「?」僕達は顔を見合わせた。
「大学部にまことしやかに流れてる七不思議系の噂の幾つが本当なんや、って」
『…………亀池……』僕達は揃って、呆れた。
どれだけ怖がりなんだ?
「因みに殆どデマやから、怖がらんでええでって答えといたわ」そう言って笑う、栗栖。
けど、その言い方じゃあ、中には本当のものもあるみたいじゃないか? 栗栖よ。
「どれがデマか迄は知らんけどって言うたら、余計頭抱えて帰って行ったけど」
「だろうね」
ところで、そんなにあるのか? 大学の七不思議。今度ゆっくり聞いてみたいような、みたくないような。
「ま」京が肩を竦めて言った。「そんな事で悩んでる様なら、亀池の奴、進学は問題なさそうだな」
「七不思議さえクリアすればね」僕はくすくすと笑う。
そうだ、進学と言えば――。
「栗栖、大学はこっちで進学するのかい?」僕は栗栖に尋ねた。
「ああ」栗栖は頷いた。「さっきも言うたように、こっちに知り合い居るし。折角来たんやから高校三年だけいうのも勿体無いし」
だってさ、京――僕がちらりと見遣ると、京は相変わらず眉間に皺を寄せていたけれど、少し、嬉しそうだった。尤も、僕自身が嬉しかったから、それが投影されたのかも知れないけれど。
兎も角、もう暫くはこのメンバーの様だ。
―了―
長くなる~。眠くなる~。
と言うか、いつになったら進学するんだ、彼等は(笑)
そうなんですよ!(爆)
これは……ずっと卒業、進学出来ないかも(笑)
やっぱり当分、高校生?(笑)
彼等はきっと来年度も高校生(笑)
七不思議も気になるけど、すぐ裏手にある大学生寮の話ということでそのうち登場と読んだ!
まぁ、山の中で敷地から考えても近くて、あっちこっち隣接してそうだし(笑)
大学に居る栗栖の知り合いという伏線(?)もあるし(^^;)