忍者ブログ
〈2007年9月16日開設〉 これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。 尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。 絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin Link
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 あの場所では事故が多い――そんな話を聞き付けては出かけて行く。そんな暇人が、友人の中に約一名、居た。
 尤もそれにつき合わされている辺り、僕も暇人なのかも知れないが。
 今日出掛けたのは、そんな場所の一つ。通称「魔の交差点」だった。
 苦笑が漏れる程在り来たりの通称で呼ばれるそこは、周囲に空き地も多い為一見只の見通しのいい直線道路の交わりだった。商店街の外れに位置し、幹線道路への連絡道路でもある所為か、通行量は結構多い。

「何も無いよなぁ」歩道から交差点の東西南北を見渡し、僕は言った。「信号が無いとは言え、道路幅も充分、見通しも良好、これでどうして事故が起きるんだろ?」
「それが不思議なんじゃないか」何を今更、という顔で応じたのは問題の暇人だった。潮勇人うしお・ゆうと
「じゃ、勇人は原因は何だと思うんだ?」
「それが解らないから不思議なんじゃないか」
 毎度の会話だった。勇人はいつも自信満々にこれは不思議現象だと説く。僕は流石に、もっと現実的な理由を探そうとするんだけど……見付けるのは残念ながら僕じゃない。
「あー、またこんな所に居る」僕等の背後から掛かった声は、同級生の女子のものだった。

拍手[0回]

PR
「今時のにしちゃ、えらく暗いトンネルだな」呟きながらもヘッドライトのスイッチを捻り、俺はその長いトンネルに車を乗り入れた。
 山の中とは言え、よく整備された二車線の道路。そこに横たわる山に穿たれた暗い穴。オレンジ色の光が点々と、内部を照らしている。だが、どうかすると車のライトも要らないんじゃないかと思う位のトンネルもあるが、此処は……ヘッドライトの灯すら、心許ない。それ程、暗く、深い。出口を示す日の光は未だ見えもしない。
「よくこんな所にトンネル通したな」思わず独り言が漏れたのは、対向車すら無いという孤独感からだったろうか。「……本当にこの道、合ってんのか?」

 心許ないながらもこんな山道を走っているのには訳がある。
 この先には廃墟となったホテルがあるというのだ。所有者は荒らされるのを恐れてかなり厳重な戸締りがされている。それでもどうにか抜け道はあるが、大抵の者は先ず佇まいを見ただけで回れ右をしてしまうのだ、と。
 そう俺は聞いた事があった。
 今、そこで待っているとメールしてきた妹の恭子に。

拍手[0回]

「最近、悪い夢ばかり見るんだ……」憂鬱そうに枕を抱えて、荘太は言った。僕より一個下、小学六年生の従弟いとこだ。
 正月だから、と集まった父方の祖父の家。古い家だけれど、マンションの部屋なんかより、一部屋一部屋がずっと広い。僕の家も叔父の家も子供は一人だけ。だから「偶には子供は子供同士で」なんて言って僕達に一部屋あてがわれたんだ。ま、僕は大人達が遅く迄部屋に戻らずに呑む口実なんじゃないかと思ってるけどね。だって、父さんは「此処なら枕投げして遊んでもこっちには聞こえないぞ」なんて煽る様な事を言ってたけど、それって逆に向こうで騒いでても聞こえないって事じゃないか。
 それは兎も角、二枚の布団が敷かれた部屋で、枕投げをするでもなく持って来たゲームをしたり、本を読んだりしてたんだけど、そろそろ眠くなったから……と言った所でさっきの荘太の発言だった。

拍手[0回]

 毎日の習慣というものは恐ろしいものだ。
 もう、その必要は無いと頭では解っているのに、その日も私は朝早く、目を覚ました。物憂げにベッドの傍らを見下ろすが、当然そこにはもう、散歩をせがむ愛犬の姿は無い。耳の長い、茶色と白の中型犬だった。甘えん坊で、でも私に嫌われないようにお行儀よくベッドの傍らに控えて、期待に満ちた目で私を見上げていたあの子。
 もう触れ合えないなんて信じられない、私のメリー。
 私はのそのそと、ベッドの上で寝返りを打った。

 一週間前の、散歩中の事故だった。早朝で、人通りも少ないと高を括っていたのだろうか、スピードを出し過ぎていた車がカーブを曲がり切れず、私の数歩先を歩いていたメリーに……。

 ああ、こんな朝をこれから幾度、繰り返すのだろう? あの瞬間を回想しながら、悲嘆に暮れる朝が。

 と――。
 パタパタと軽い――けれどどこかぎこちない――足音が聞こえ、やがて私の部屋のドアをカリカリと引っ掻く音。これは、真逆……。
「入りたいの? 仕方ないわね」くぐもった、母の声。
 そしてドアが開き――耳の長い、茶色と白の中型犬が、ベッドの傍らに妙に畏まって座り込んだ。キラキラした黒い瞳で私を見上げ、哀しげに鼻で鳴いた。
「メリー……お姉ちゃんはもう居ないのよ。散歩中に突っ込んで来た車からお前を庇おうと飛び出して……。お前も二週間の怪我で入院して……それにしても、帰った途端に此処に来るなんてねぇ。可愛がられていたものねぇ」そう言って、母は泣いた。
 私はそっと手を伸ばして、最早触れられる筈もないメリーの鼻に触れようとした。メリーも、鼻の頭を擦り付けてくる。
 死人と犬、触れられない筈のこの手に、けれど私はメリーの暖かさを確かに感じた。
〈メリー……。無事でよかった……〉
 私はそう呟くと、何か暖かいものに包まれた気がして……やがて意識が解けた。
 最期に聞いたメリーの声は寂しげで、でも、さようなら、また会おうね――そう言っている様に、聞こえた。

                      ―了―

 はい、本日も短めで!

拍手[0回]

 雪の積もった街路を歩きながら、私はふと、白い息の向こうに皓々と輝く月を見上げた。
 月明かりが雪に映え、深夜ながらも明るい。空気は氷の塊の様に、冷たいけれど。
 そんな極寒の深夜に何故私が出歩いているのか?
 それは只、味わってみたかったからだ。
 切る様に冷たい空気を。
 白々とした雪明りを。
 サクサクとした、雪を踏む感触を――私は子供に返った様に、その感触を楽しんだ。
 ああ、遠くに話に聞いたかまくらというものが見える。中の灯が暖かそうだ……。
 
 と、一頻り楽しんだ所で、無粋極まりないブザーの音がそれを遮った。
〈二十分経過しました。アトラクション『北国の夜』は終了です。またのお越しをお待ち致しております〉
 無機質なアナウンスの後、風景は灰色一色の無愛想な部屋に一変した。いや、元に戻ったのだ。
 私は溜め息をついて、部屋を出た。あれだけの大金を積んで二十分は短か過ぎないかと、内心でぼやきつつ。幾ら最新のバーチャルリアリティを使用して、我が国の今は無き冬を再現している貴重な施設だとは言っても。
 仕方ない――私はレンタルのコートやマフラー、手袋を返却しながら、暑い世界に戻った――この地球のサイクルが再び我々に冬を楽しませてくれるのは、果たしていつになるか解らないのだから。

                      ―了―

 明日から早出なので短めに!
 取り敢えず近(?)未来って事で!

拍手[0回]

「二十五日を過ぎちゃうとさ、クリスマス前の浮かれた気分って何処行っちゃうんだろうね?」由佳は赤や緑や白の飾りの撤去が進むショッピングモールを友人と並んで歩きながら、ぽつりと呟いた。
 通りには代わって和風の飾りが出陣を待っている。
「そりゃもう、クリスマスが終わればお正月、いつ迄も余韻に浸ってもいられないわよ」友人の美和は言った。「何たって師走だもん。クリスマスプレゼントが終わればお年玉! 次の目標があるんだから」
 そう言って笑う友人とは別に、由佳はやはり物寂しさを感じていた。
「ぶっちゃけてしまば消費を煽る為のイベントなんだからさ。キリスト教徒でもないのにクリスマスを祝いましょう、なんて」美和は言う。「それが終わったらさっさと際物は片付けて、次に移らないと。一週間しか無いんだよ? お正月迄」
 際物――本来は特定の季節だけに需要が高まる物――確かにそうなのだろうな、と由佳は頷いた。
 時は移り行く。立ち止まっていてはぽつねんと、置いて行かれる。
 
 と、その流れに置いて行かれた様な店が一軒、目に留まった。
 煉瓦造りの壁には蔦が幾重にも這い、そこにクリスマス用の電飾が未だ、絡み付いている。出窓になった硝子にも白いペイントがツリーやソリを描き出し、店内の暖色系の照明に映えていた。
 看板を見ればどうやら喫茶店らしい。
 由佳は何気無く、そこに美和を誘って入った。

 電飾映える緑の濃いツリーとクリスマスソング、丸でクリスマス前に戻った様な感覚だった。
「のんびりした店ねぇ」美和が呟いた。彼女の家は商店を営んでいる所為か、時節の変動には敏感なのかも知れない。
 しかし、由佳はどこかほっとしていた。
 クリスマス前の商戦真っ只中の、熱に浮かされた様に繰り返されるジングルベル、急かす様な鐘の音、それらよりずっと、落ち着いた聖夜らしい雰囲気がそこにはある様な気がした。
 見れば他の客達も、今日が二十六日である事など気にした風も無く、歓談に興じている。
 由佳と美和も席に着き、注文したケーキセットを共に、今年のクリスマスはこうだった、ああだったといった話に花を咲かせ始めた。
 外の街頭に明かりが灯され、ツリーのイルミネーションが輝き始める頃迄。

「あれ?」店を一歩出て、由佳は素っ頓狂な声を上げた。宵闇に包まれた街角には、中から見えたツリーのイルミネーションなど無かった。消灯されたのだとしても張られた電線等はある筈なのに。「何で?」
「何が?」美和は平然としている。
 由佳が混乱の理由を話すと、彼女は眉を顰めた。
「大丈夫? イルミネーションなんて、店に入る前からもう片付けられてたし、中から見た時だって……。え? 本当に見えたの?」
 途惑いつつも、由佳は頷く。そして、店を振り返った。未だ、窓からは暖かい明かりが漏れている。
 この店は……店の中は時の流れが違うのかも知れない――そんな気がした。丸で彼女の想いに応える様に現れた店……しかし……。
「さ、帰ろ。遅くなっちゃうよ」美和が彼女の手を引いた。「冬休みなんてあって言う間に終わっちゃうんだから」
「うん」そう、立ち止まってはいられない――彼女は引っ張ってくれる友人の手の温かさを感じながら、歩き出した。

                     ―了―
 


 何と無く祭りの後って……物寂しいよね~。

拍手[0回]

 もーいーかい?

 もーいーよ!

 幼い声でのそんなやり取りがあった後、寺の裏の林の中は静まり返った。聞こえるのは只、一人の子供が枯葉を掻き分け、進む音だけ。その音に反応して忍び笑いや身を竦める気配が、生じ掛けては押し殺されている。
 かくれんぼをするには絶好の場所だった。
 濃い葉陰、子供が登るには程よい木々、点在する岩。
 尤も、鬼の方も心得ていて、先ず自分なら隠れるだろう場所から探し始め、直ぐに二、三人を見付けてその名を呼んだ。致し方ないという顔で、子供がそれぞれの隠れ場所から姿を現す。
 と、風が止んだ一瞬だと言うのに、絨毯の様に広がる枯葉が吹き上がる様に、舞った。
 真逆――と鬼がその辺りに爪先で探りを入れると、枯葉が爆発する様に舞い散り、観念したらしき男の子が笑いながら身を起こした。
「忍者かよ!」如何に落ち葉が積もっているとは言え、余りな隠れ場所に鬼役は思わず突っ込みを入れていた。
 尤も言われた本人は頭や服に付いた枯葉を落とすのに手一杯だったが。
 鬼役は気を取り直し、人数を数えた。一、二、三、四……五人。
「何だ、これで全部じゃないか。呆気なかったな」
「んじゃ、今度お前隠れろよ、あっさり見付けてやるから」
「俺が隠れるのは当たり前じゃないか。頑張れよ、鬼さん」
 そして樹の幹に顔を伏せた新たな鬼をその場に残し、子供達は隠れ場所を捜す。

 もーいーかい?
 
 もーいーよ!

 新たな鬼は枯葉の底の底迄、探る様に歩いて行った。が、そんな所に潜り隠れるのはそうそう居ないと知ると、視線を上に転じた。すると頭上の木の枝に幾人かの影。目の上に手で庇を作り、逆光をなるべくカットしながら、彼はそれを見極め、名前を呼んでいく。
 そして降りてくる人数を数えて、満足そうに頷いた。
「よし、これで六人全員だな」
 やがて次の鬼の番に回り――。

 もーいーかい?

 もーいーよ!

 やるごとに一人ずつ、増えていく事に彼等は何故か疑問を口にしなかった。丸で元から、それだけの人数が居たかの様に、自然と次の遊びに入って行く。
 その内冬の日差しもとっぷりと暮れ始め――。
「じゃあ、また明日ー」
「おう、気を付けて帰れよ。小さい子はちゃんと近い奴が送って行くんだぞ!」
「解ってるって!」
「兄ちゃん待ってよ」
 わいわいと帰って行く子供達。
 そしてそれを見送る子供達――その笑みがふっと掻き消す様に消え、ゆっくりと、名残りを惜しむ様にその姿は、地へと消えて行った。

 かつて土葬だったこの土地では、寺の裏の墓地を移転した後でも、時折遺骨が発見されると言う。

                      ―了―

 最初の鬼+三人が実体。後は……くっくっくっ(←誰)
 単に遊びたかっただけらしい。

拍手[0回]

フリーエリア
プロフィール
HN:
巽(たつみ)
性別:
女性
自己紹介:
 読むのと書くのが趣味のインドア派です(^^)
 お気軽に感想orツッコミ下さると嬉しいです。
 勿論、荒らしはダメですよー?
 それと当方と関連性の無い商売目的のコメント等は、削除対象とさせて頂きます。

ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログ村参加中。面白いと思って下さったらお願いします♪
最新CM
☆紙とペンマーク付きは返コメ済みです☆
[06/28 銀河径一郎]
[01/21 銀河径一郎]
[12/16 つきみぃ]
[11/08 afool]
[10/11 銀河径一郎]
☆有難うございました☆
カレンダー
12 2026/01 02
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
(04/01)
(03/04)
(01/01)
(12/01)
(11/01)
アーカイブ
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
メールフォーム
何と無く、付けてみる
フリーエリア
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]