忍者ブログ
〈2007年9月16日開設〉 これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。 尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。 絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin Link
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「そっちに行っちゃ駄目!」私はふらふらと崖に近付こうとした妹を、慌てて制止した。
 はっと、我に返った様子で振り向いた妹は、ああ、まただ、と溜息をついた。
 何故だか、呼ばれた気がして、行ってしまう。
 その先は切り立った崖だったり、海だったり、ビルの屋上のフェンスだったり……。それが危険だと、頭では理解しているのに、行かなきゃ、という思いに支配されてしまう。
 幼い頃からの、妹の悩みだった。

 霊媒体質とでも言うのだろうか。
 妹はそういったものと関わり易い――特に、呼ばれ易い。
 寂しさから仲間を求めるのか、新たな魂を取り込む事で力を増そうというのか、それらは時に、妹の様にその声を聞いてしまう者を、誘い込もうとする。
 声が聞こえるだけなら無視すればいいとも言えるけれど、妹の場合は直ぐにその意思を半ば奪われてしまう。ぼうっとしている間に、危険な場所へと足を踏み入れてしまうのだ。
 だから、私が見ていてあげなければならない。
 常に。どんな時も。
 一生涯……は無理だけれど。
 
 だって、私の生涯は既に閉じてしまったのだから。
 二年前のあの日、誘い出される様に車道に飛び出した妹を突き飛ばし、代わりに撥ねられたのは、私。

 だから……私以外の誰かに呼ばれて行くなんて、許さないわ……。
 
 妹を呼んだモノを次々と吸収し、力が増大するのを感じながら、私は考える。
 いつ、その名を呼ぼうか……?

                      ―了―
 怪しい人、妖しいモノに呼ばれても、付いて行っちゃ駄目ですよー(・0・)

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
えええ〜
せっかく助けたのに呼ぶ時期を待ってるの?
お姉ちゃんそれはあんまりだよ〜w
つきみぃ URL 2011/08/27(Sat)22:52:07 編集
Re:無題
反射的に助けたものの、自分の死は妹の所為、という思いも……(^^;)
複雑です★
巽(たつみ)【2011/09/01 21:41】
おはよ
多分、お姉さんはこの世の人でないなと思ったら、やっぱりw

「だから私が見ていてあげなければ・・・」のところで思った。

何故なら、幾ら仲のいい姉妹でも、生身なら、何時も傍に居られるはずないから。
afool 2011/08/30(Tue)09:03:27 編集
Re:おはよ
ちぃっ、読まれたか(笑)
巽(たつみ)【2011/09/01 21:42】
無題
一生涯という言い方は無理でも、お化けは死なぁな~い♪(by ゲゲゲの鬼太郎)なのだからずっと見ているんでしょうね。

姉幽霊にとっても死んだ妹より生身の妹の方がかまいがいがあるのかな?
銀河径一郎 URL 2011/09/01(Thu)20:12:57 編集
Re:無題
ずーっと、見てますよ?
そりゃもう、彼女が死ぬ迄……( ̄ー ̄)
巽(たつみ)【2011/09/01 22:00】
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
フリーエリア
プロフィール
HN:
巽(たつみ)
性別:
女性
自己紹介:
 読むのと書くのが趣味のインドア派です(^^)
 お気軽に感想orツッコミ下さると嬉しいです。
 勿論、荒らしはダメですよー?
 それと当方と関連性の無い商売目的のコメント等は、削除対象とさせて頂きます。

ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログ村参加中。面白いと思って下さったらお願いします♪
最新CM
☆紙とペンマーク付きは返コメ済みです☆
[06/28 銀河径一郎]
[01/21 銀河径一郎]
[12/16 つきみぃ]
[11/08 afool]
[10/11 銀河径一郎]
☆有難うございました☆
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新記事
(04/01)
(03/04)
(01/01)
(12/01)
(11/01)
アーカイブ
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
メールフォーム
何と無く、付けてみる
フリーエリア
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]