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〈2007年9月16日開設〉 これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。 尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。 絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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 私にくれると言ったじゃない――君はそう言って、上目遣いに僕を睨む――お母様の形見のあの指輪、将来、私にくれるって。
 ルビーの嵌った指輪は、しかし石の品質、サイズを鑑みればそれ程高級な物ではなかった。だけれど、それ以上に僕にとって意味があったのは、それが母の形見であった事。
 そして君にとって意味があったのは、それが僕の父が母にプロポーズの際に贈った物で、いずれ僕も大事な人に贈るだろうという事だった。
 それを知っていて、幼馴染の君は度々、幼い約束を持ち出した。
 
 大人になったら、あの指輪を私にくれる?――詰まりは、お嫁さんにしてくれる?――よくある、幼い夢だ。大抵は成長し、世界が広がるに伴い霧散する、夢物語。
 僕も無邪気に頷いたものだった。
 僕が学校に上がり高校、大学と進む内、自然、お互いに何も言わなくなった。
 けれど、密かに、彼女の夢は続いていたんだ。
 だから僕が別の女性に指輪を贈った時、君は突き上げる様な目で僕を見て、言った。
 私にくれると言ったじゃない――低く、噛み締める様な声音が耳にこびり付いた。

 でも――仕方がないんだ。
 君は十年前のあの日に死んだ。
 僕が当時付き合っていた女性にナイフで切り掛かり、必死の反撃にあって頭部を強打した、あの日に。
 彼女とはそれで別れてしまった。彼女には殺意はない、過剰防衛でさえない事故だと宥めたけれど、僕が一緒に居る事は、それだけで彼女の負担となり……僕は身を引くしかなかった。
 彼女は本当に、君を傷付けてしまった事を悔やんでいたよ……。
 留めは、悲鳴を聞いて駆け付けた僕が差したのだとも知らずに。

 ごめんよ、君には赤い指輪は上げられない。
 例え緋い縁で繋がってはいても。

                      ―了―


 暗いぞ~(--;)

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無題
どえりゃー修羅場ですねえ。。

こんな風にしつこく現れてこられたらたまりませんね。
それとも主人公にも殺意があったのかな。
銀河径一郎 2011/01/01(Sat)00:51:03 編集
Re:無題
どえりゃー修羅場だと……普段は自覚もしていない殺意が顔を出す事も……?
巽(たつみ)【2011/01/01 21:43】
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