〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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道が分かれている――どちらへ進むかという問いに、沙也香はこれと言って迷う事もなく、右と答えた。
何故なら辺りの風景はどれだけ歩いても変わり映えもなく、何の手掛かりも示してはくれなかったから。そして何より、彼女はこれが夢だと、自覚していたから。現に、もうかなりの距離と時間を費やして歩いている筈なのに、脚にも全く疲れが感じられない。
精神的には、疲れと憤りを募らせてはいたが。
「どれだけ歩かせる心算?」彼女は先を歩きながらも決して自分では道を選ぼうとしない男に質した。
「ここから出られる迄」端的かつ曖昧に、男は答えた。因みに、いつの間にか同行していたものの、この男は沙也香の知人ではない。あるいはどこかで会っていたかも知れないが……平凡な顔、平凡な背格好の男は、印象に残る様なタイプでもなかった。
「もういいわよ」溜め息をついて、沙也香は脚を止めた。「解ってるのよ、これは夢だって。歩こうが歩くまいが、朝になって目が覚めたらこんな所からはサヨナラ出来るんだから、もう歩くのは止め」
「……」少し困った顔をして、男は彼女を振り返った。
問題が一つ、あると言う。
怪訝な面持ちで首を傾げた沙也香に、彼は言った。
「問題はこれが貴女の夢なのか、僕の夢なのか判らないという事なんですよ。貴女は僕の事を夢の中の存在と思っているみたいですが、僕だって実在する人間ですよ。詰まり、どちらかがどちらかの夢に迷い込んだ……そういう事かも知れません。もしこの状態で、この夢を見ている方が目を覚ましてしまったら……」
迷い込んだ方の意識はどうなるのだろう?
結局、沙也香は再び歩き出した。
どちらかが目を覚ますより前に、これが自身の夢だと確信するか、もしくは自身の夢に帰還する為に。
―了―
携帯から更新してみる( ̄▽ ̄;)
利き手じゃない方で打つから暇掛かる(>_<)
何故なら辺りの風景はどれだけ歩いても変わり映えもなく、何の手掛かりも示してはくれなかったから。そして何より、彼女はこれが夢だと、自覚していたから。現に、もうかなりの距離と時間を費やして歩いている筈なのに、脚にも全く疲れが感じられない。
精神的には、疲れと憤りを募らせてはいたが。
「どれだけ歩かせる心算?」彼女は先を歩きながらも決して自分では道を選ぼうとしない男に質した。
「ここから出られる迄」端的かつ曖昧に、男は答えた。因みに、いつの間にか同行していたものの、この男は沙也香の知人ではない。あるいはどこかで会っていたかも知れないが……平凡な顔、平凡な背格好の男は、印象に残る様なタイプでもなかった。
「もういいわよ」溜め息をついて、沙也香は脚を止めた。「解ってるのよ、これは夢だって。歩こうが歩くまいが、朝になって目が覚めたらこんな所からはサヨナラ出来るんだから、もう歩くのは止め」
「……」少し困った顔をして、男は彼女を振り返った。
問題が一つ、あると言う。
怪訝な面持ちで首を傾げた沙也香に、彼は言った。
「問題はこれが貴女の夢なのか、僕の夢なのか判らないという事なんですよ。貴女は僕の事を夢の中の存在と思っているみたいですが、僕だって実在する人間ですよ。詰まり、どちらかがどちらかの夢に迷い込んだ……そういう事かも知れません。もしこの状態で、この夢を見ている方が目を覚ましてしまったら……」
迷い込んだ方の意識はどうなるのだろう?
結局、沙也香は再び歩き出した。
どちらかが目を覚ますより前に、これが自身の夢だと確信するか、もしくは自身の夢に帰還する為に。
―了―
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利き手じゃない方で打つから暇掛かる(>_<)
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Re:こんばんわ~
有難うございますm(_ _)m
Re:無題
どちらがどちらの夢か、判らないですしね~(^^;)
有難うございます!
有難うございます!