〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
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昨日は友達がうっかりブログに投稿したと言っていたから、その所為かも知れない。あの事が皆に知られていたのは。
だけど、当事者である同級生、山戸鈴子は下手な演技で誤魔化そうとはしなかったよ。
でも、夜霧――夜原霧枝先生――が相談した、女子寮の貴田月夜は元から彼女の対応への結論を保留する心算だったのだろうか?
それで新聞部のきゃらめる――キャラクターを使ったメールが得意な、本名不破りえ――の方も薄情ではないから、事件を紙面に再生したかったのだろうに、書かなかった。
お陰で好奇心に満ちた他の生徒達の足音も鈴子に集中しなかったらしい。
それでなければ、それを避ける為、と校内を彷徨する羽目に陥った筈だった。
でも、徐々に頭が冷える事で状況を理解したのか、鈴子は校内の歩道の模様が記憶出来そうな程、俯いて凝視していたよ。
だけど、栗栖と勇輝は何で反射的に否定したのだろう?――彼女がこの前、男子寮に来ていたという事を。
だけど、当事者である同級生、山戸鈴子は下手な演技で誤魔化そうとはしなかったよ。
でも、夜霧――夜原霧枝先生――が相談した、女子寮の貴田月夜は元から彼女の対応への結論を保留する心算だったのだろうか?
それで新聞部のきゃらめる――キャラクターを使ったメールが得意な、本名不破りえ――の方も薄情ではないから、事件を紙面に再生したかったのだろうに、書かなかった。
お陰で好奇心に満ちた他の生徒達の足音も鈴子に集中しなかったらしい。
それでなければ、それを避ける為、と校内を彷徨する羽目に陥った筈だった。
でも、徐々に頭が冷える事で状況を理解したのか、鈴子は校内の歩道の模様が記憶出来そうな程、俯いて凝視していたよ。
だけど、栗栖と勇輝は何で反射的に否定したのだろう?――彼女がこの前、男子寮に来ていたという事を。
「再確認するが、山戸鈴子はお前達のどちらかの部屋に遊びに来ていた訳じゃないんだな?」何度目の再確認だ、と言いたい程しつこい、我が兄、真田京の詰問が続いていた。
男子寮内の談話室――決して京の取調室じゃあない――に居るのは、京と僕、そして知多勇輝と間宮栗栖の四人だった。
「うちには来てない」勇輝は言下に否定した。尤も、彼は本来禁じられている女子の男子寮への訪問――勿論その逆もだ――が発覚した時も、彼女は来ていないと言っていた。彼がその頃に居た寮内の図書室からは、訪問者が必ず通る、寮の正門がよく見える筈だった。
そして同席していた栗栖もまた、同級生の訪問を否定していた。
「うちには来てへんで。山戸とはあんまり話した事もないし」編入して来た時から変わらぬ関西弁で、彼は答えた。
「で? 寮に来ていた事も知らなかった、と?」嫌味っぽい口調で、京は尋問を続ける。
こっくりと頷いた二人を見て、京は更に眉間に皺を寄せた。
「じゃあ、どうして彼女が来た事を否定した? 先日俺が『女子を見なかったか』と訊いた時、お前達二人は『見なかった』『気付かなかった』ではなく、『来てない』とはっきり答えた筈だ」
見なかった、気付かなかったと言うのと、完全否定――それは全く違うものだ。来ていたかも知れないけれど見なかったと答えたのであれば、京も気にしなかっただろう。だが、完全否定するには、その頃彼女が男子寮に居なかった事、あるいはそれ以外のどこに居たのか、詰まりはアリバイを証明出来なくてはならない。
だが、生憎とその証明材料は無く、逆に彼女の訪問は複数の第三者によって目撃されていた。
そして彼女自身も、無駄に取り繕う事無く、事実を認め、謝罪していた。
詰まり、勇輝達は嘘をついたのだった――それも、理由の解らない嘘を。
嘘にも理由がある――と、京は言った。直接、間接的利害が関わっているものだ、と。況して結果的に相手を庇う様な嘘を、無関係な者がつく筈がないと。
だからこそ、彼女の訪問先及び訪問理由を彼等と結び付けて考えたのだが……。しかし、実際に彼女の姿が目撃されたのは勇輝や栗栖の部屋とは全く違う方向だった。
では何故彼等は意味不明な嘘をついたのか――それが京は気に入らないらしかった。
しかし、訪問者本人が認め、反省しているのだからと、僕は京を宥めすかして話を終えさせた。
話を続けた所で、二人が本当の事を言うとは思えなかったから。
「女子を見なかったか……って訊いたんだよね? 京は」兄貴が不機嫌顔で退室してから、僕は小声で二人に質した。
顔を見合わせた後、勇輝が頷く。そうだ、と。
「詰まり、それが山戸鈴子だとは言わなかった。そして本当に彼女の事は知らなかったんだ。だから……二人は別の女子の事だと思って、反射的に嘘をついてしまった――違う?」
勿論、京には内緒だから、と笑うと、二人は苦笑して頷いた。
当の女子はと訊けば、どうやら此処の卒業生でもある、勇輝の彼女らしい。
「ハンドルネーム『みいにゃん』さんか」未だブログ上での交友も続いているらしいが、連休を利用して彼女がこちら方面へ遊びに来る事は聞いていなかったと言う。サプライズと言うか、どっきりと言うか……。
その後、彼女は無事に此処を脱出したらしいが。
「それで慌ててる所へ京が訊きに来たもんやから、てっきり彼女が見付かったもんやと思うて……」彼女が来た時、勇輝と一緒に居た栗栖が苦笑する。「つい、二人して『来んかった』と――悪かったな、祥」
「僕は別にいいけど――兎も角、秘密厳守だね」特に京には――と、僕は笑った。
因みに山戸は只こちらの寮に居る弟に、昼間学校で渡し忘れた本を持って来ただけで、それが騒ぎになるとは思ってもいなかった様だ。結局反省文だけで済んだという事だけど、これからはかなり慎重になるんじゃないだろうか。
それにしても、山戸と言い、みいにゃんさんと言い、うちの生徒は女子の方が積極性に富んでいるのだろうか?
―了―
おのれ、夜霧め~!
かなり苦しいわ!(^^;)
男子寮内の談話室――決して京の取調室じゃあない――に居るのは、京と僕、そして知多勇輝と間宮栗栖の四人だった。
「うちには来てない」勇輝は言下に否定した。尤も、彼は本来禁じられている女子の男子寮への訪問――勿論その逆もだ――が発覚した時も、彼女は来ていないと言っていた。彼がその頃に居た寮内の図書室からは、訪問者が必ず通る、寮の正門がよく見える筈だった。
そして同席していた栗栖もまた、同級生の訪問を否定していた。
「うちには来てへんで。山戸とはあんまり話した事もないし」編入して来た時から変わらぬ関西弁で、彼は答えた。
「で? 寮に来ていた事も知らなかった、と?」嫌味っぽい口調で、京は尋問を続ける。
こっくりと頷いた二人を見て、京は更に眉間に皺を寄せた。
「じゃあ、どうして彼女が来た事を否定した? 先日俺が『女子を見なかったか』と訊いた時、お前達二人は『見なかった』『気付かなかった』ではなく、『来てない』とはっきり答えた筈だ」
見なかった、気付かなかったと言うのと、完全否定――それは全く違うものだ。来ていたかも知れないけれど見なかったと答えたのであれば、京も気にしなかっただろう。だが、完全否定するには、その頃彼女が男子寮に居なかった事、あるいはそれ以外のどこに居たのか、詰まりはアリバイを証明出来なくてはならない。
だが、生憎とその証明材料は無く、逆に彼女の訪問は複数の第三者によって目撃されていた。
そして彼女自身も、無駄に取り繕う事無く、事実を認め、謝罪していた。
詰まり、勇輝達は嘘をついたのだった――それも、理由の解らない嘘を。
嘘にも理由がある――と、京は言った。直接、間接的利害が関わっているものだ、と。況して結果的に相手を庇う様な嘘を、無関係な者がつく筈がないと。
だからこそ、彼女の訪問先及び訪問理由を彼等と結び付けて考えたのだが……。しかし、実際に彼女の姿が目撃されたのは勇輝や栗栖の部屋とは全く違う方向だった。
では何故彼等は意味不明な嘘をついたのか――それが京は気に入らないらしかった。
しかし、訪問者本人が認め、反省しているのだからと、僕は京を宥めすかして話を終えさせた。
話を続けた所で、二人が本当の事を言うとは思えなかったから。
「女子を見なかったか……って訊いたんだよね? 京は」兄貴が不機嫌顔で退室してから、僕は小声で二人に質した。
顔を見合わせた後、勇輝が頷く。そうだ、と。
「詰まり、それが山戸鈴子だとは言わなかった。そして本当に彼女の事は知らなかったんだ。だから……二人は別の女子の事だと思って、反射的に嘘をついてしまった――違う?」
勿論、京には内緒だから、と笑うと、二人は苦笑して頷いた。
当の女子はと訊けば、どうやら此処の卒業生でもある、勇輝の彼女らしい。
「ハンドルネーム『みいにゃん』さんか」未だブログ上での交友も続いているらしいが、連休を利用して彼女がこちら方面へ遊びに来る事は聞いていなかったと言う。サプライズと言うか、どっきりと言うか……。
その後、彼女は無事に此処を脱出したらしいが。
「それで慌ててる所へ京が訊きに来たもんやから、てっきり彼女が見付かったもんやと思うて……」彼女が来た時、勇輝と一緒に居た栗栖が苦笑する。「つい、二人して『来んかった』と――悪かったな、祥」
「僕は別にいいけど――兎も角、秘密厳守だね」特に京には――と、僕は笑った。
因みに山戸は只こちらの寮に居る弟に、昼間学校で渡し忘れた本を持って来ただけで、それが騒ぎになるとは思ってもいなかった様だ。結局反省文だけで済んだという事だけど、これからはかなり慎重になるんじゃないだろうか。
それにしても、山戸と言い、みいにゃんさんと言い、うちの生徒は女子の方が積極性に富んでいるのだろうか?
―了―
おのれ、夜霧め~!
かなり苦しいわ!(^^;)
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この記事にコメントする
Re:こんばんは
有難う~(^-^)
本当、夜霧にゃ敵いませんわ(苦笑)
本当、夜霧にゃ敵いませんわ(苦笑)
こんにちは♪
いやぁ~お疲れ様でした!
大変だったでしょう?
あんなにいっぺんに大勢の名前を出されたら
困ってしまうよネェ!
でも流石ですねぇ~!
じぇんじぇん苦しくなんかないっす!
女は強しですな♪
大変だったでしょう?
あんなにいっぺんに大勢の名前を出されたら
困ってしまうよネェ!
でも流石ですねぇ~!
じぇんじぇん苦しくなんかないっす!
女は強しですな♪
Re:こんにちは♪
有難うございます~(^-^)
本当に夜霧、取り止めがなさ過ぎ!(--;)
本当に夜霧、取り止めがなさ過ぎ!(--;)
無題
>それでみぃにゃんと彷徨するはずだった。
が
>それでなければ、それを避ける為、と校内を彷徨する羽目に
になった理由の説明を希望。(笑)
誰が誰なのやら、サッパリわからんくなった。
貴田月夜って誰だっけ?
山戸鈴子は新登場人物だよね?
みぃにゃんは、勇輝の彼女だったっけ?
みぃにゃんさんと、ブログで交流してるのは、不破りえ?
が
>それでなければ、それを避ける為、と校内を彷徨する羽目に
になった理由の説明を希望。(笑)
誰が誰なのやら、サッパリわからんくなった。
貴田月夜って誰だっけ?
山戸鈴子は新登場人物だよね?
みぃにゃんは、勇輝の彼女だったっけ?
みぃにゃんさんと、ブログで交流してるのは、不破りえ?
Re:無題
あれ?(・・?
みぃにゃん、どこ行った?(笑)
山戸鈴子は新規登場人物~。元は鈴ちゃん♪飼い主さんが『ヤマト』ってBPも飼ってるの^^
月夜は風紀委員で女子寮版、京みたいな人(笑)
そそ、きゃらめること不破りえちゃんのブログの常連にして、勇輝の彼女がHNみいにゃんさん☆
……登場人物、増え過ぎ感が……(^^;)
みぃにゃん、どこ行った?(笑)
山戸鈴子は新規登場人物~。元は鈴ちゃん♪飼い主さんが『ヤマト』ってBPも飼ってるの^^
月夜は風紀委員で女子寮版、京みたいな人(笑)
そそ、きゃらめること不破りえちゃんのブログの常連にして、勇輝の彼女がHNみいにゃんさん☆
……登場人物、増え過ぎ感が……(^^;)
Re:こんばんは☆
草食系(笑)
大人しいのかな?(^^;)
大人しいのかな?(^^;)
Re:恐るべし
ん~、貴方は先日『女子を見なかったか』という私の問いに、完全否定で答えましたねぇ?――とか?(笑)