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〈2007年9月16日開設〉 これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。 尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。 絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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「そう言えば、夜霧が後始末とか確認したかもー。帰り際に擦れ違ったから。あのセンセの事だから、テキトーかも知れないけど。だから忘れ物なら、夜霧に訊いてみればー?」
「あ、そう言えば机の上に何か小物入れみたいな物が残ってたの、私、見たかも」
「え? マジ? 気付かなかった! あたし注意力無さ過ぎー?」
 二人の女生徒は何が可笑しいのかけらけらと笑い出した。箸が転んでも可笑しい年頃、とは言うものの、今の会話の何が可笑しかったのか、僕には不明だ。 
「それで、見はしたものの、それが大事な物だとは理解しなかった?」京の声に苛立ちが滲み出している。
 文化祭の準備の進む校舎内、とある教室に忘れ物が無かったかと、忘れ物をしたと思しき教室に居た女生徒に訊いてみればこの有様。
 取り敢えず、忘れ物をして困っている人が居る事など、彼女等の眼中にはないのだろう。
「拾って届けようとは思わなかったのか?」
「えー? だって、めんどいし」
 ねー、と彼女等は顔を見合わせ、頷き合う。
「ほら、他人の物とか迂闊に触ってて、誰かに見られたら泥棒って思われるかも知れないしー。何だっけ? リカに冠を被せず?」
「李下に冠を正さず、だ!」流石に京が吠え、彼女等は身を縮こまらせたものの――「こわーい」などと言って、実に態とらしい。京が女子に対して怒鳴りはしても、手を上げる事などないと解っているのだろう。
 拙い。京の――そして僕にとってもだけれど――苦手なタイプだ。
「兎に角、昨日の帰り際には机の上にあった。それでその後夜霧が確認してたかも知れない――そういう事だね?」さっさと切り上げようと、僕は話を纏めた。
「だからさっきからそう言ってんじゃん」
『……』僕達は、互いに相手の非常に疲れた表情を確認しながら、夜霧の元へと向かった。

 元はと言えば、男子寮に住まう一人の生徒が、文化祭中での部活動の発表をする為にやっと借り受けた教室に忘れ物をしたのが発端だった。
 勿論、我が校にはそれぞれの部室があり、殆どの部はそこを使用する事になっている。
 ところが、問題の彼が所属しているのは、学園が認めた「部」未満の「同好会」だった。その為部室は無く、普段は放課後の空いた教室で活動していたらしい。
 それでも今回ばかりはと掛け合って、どうにか文化祭の間、借りられるようにしたのが先程の教室だった。
 そして運悪くその教室に忘れ物をしてしまい、更に運の悪い事にこの大事な時期に風邪をひいてしまった。忘れ物が気になって仕方ないが、発熱の為、寮長先生によって外出禁止が言い渡されてしまい、取りにも行けない。
 結局、そう泣き付かれた僕達が預かって来ると約束し――今に至る。

「忘れ物を取りに行くだけでこんなに疲れるとは思わなかったぞ」京がぼやく。
「僕もだよ」完全に、同意。
「忘れ物が見付かったら、さっきの女子達に奴の部活を見に来るように言ってやろうか。少しは勉強になるだろう」
「止めて置いた方がいいんじゃないかな。あの子達の相手してたら、折角風邪が治っても、別の意味で熱が出るかも」
「違いない」
 ともあれ、僕達は職員室に居た夜霧を見付け、昨日忘れ物が無かったかと訊いた。
「ああ、あれ、真田達のだったの? 誰のか解らないから確認しようと思って中身見てたら、川島先生がやけに気に入っちゃって、コピーしたいからって主を捜してたわよ。それで、今は川島先生が預かってるから」
「古文の川島先生が?」訊き返したものの、僕達は内心、さもありなんと思っていた。
 兎も角夜霧に礼を言い、僕達は川島先生の元へと移動した。
 男子寮の生徒の物だと告げると、先生はさも大事そうに件の忘れ物を取り出し、返してくれた。コピーを許可してくれるよう頼んでくれないか、と言いつつ。
 僕達は了承し、職員室を辞した。

 後日文化祭にて、風邪も回復した彼も参加した、かの同好会の発表も無事に終わり――殆どの時間それを見守っていた川島先生の推薦により、何と「部」に昇格出来そうだと言う。例の忘れ物のコピーの快諾を受けた事もあるかも知れないが、先生は本当に、このたった四人しか居ない同好会が気に入ったらしい。顧問を務めたいと言っているそうだ。
「部になったとして、入部希望者、居るのかな……?」話を聞いた僕は思わずそう、呟いていた。
「何を言う」途端、京に噛み付かれた。「部ともなれば部費も出るし、大々的に志望者を募れるじゃないか。もっと集まっていい筈だろう」
 そうかなぁ、と言うとまた噛み付かれそうなので止めて置く。同好会でありながら、文化祭での発表が認められる程に文化的であるのは事実だし。
 でも……件の忘れ物、『ことわざ語源研究会』の発表内容を纏めたMOなんて、見ただけで頭が痛くなりそうだと、僕は思った。
 因みに京は入部を検討中らしい……。

                      ―了―

 夜霧の投稿、ノリが女子高生~というコメントを頂きましたので(笑)
 や、書いてても疲れる(爆) 

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こんばんは♪
おっと〜そのコメントは…(笑)
女子高生も色々なのが居るよ。
今年の1年は扱いやすくて良いけど
2年は…どうしようもない女子に振り回されてますw
女は恐いっす(^_^;)
つきみぃ URL 2009/10/05(Mon)22:31:13 編集
Re:こんばんは♪
お疲れ様です!
女子の方が厄介ですか?(^^;)
注意してもまともに受け止めてくれない子供、困りますよねぇ(--;)
巽(たつみ)【2009/10/06 00:27】
おはよう
夜霧の投稿、比較的まともだった割には、ちょっと創作に苦労した感じだね。(笑)

諺の語源かぁ、まぁ、詳しい人は詳しいだろうけどね。

因みに、殆どが中国の古典が語源だったりするから、中国研究をしてると殆どわかるんじゃないかな?

立派な学問になるよ。
クラブ活動のレベルじゃないかもー。(笑)
afool 2009/10/06(Tue)11:47:34 編集
Re:おはよう
ことわざ研究会、歴史の勉強にもなって面白そうだけど、余りに勉強臭くて部員少なし(笑)
巽(たつみ)【2009/10/06 21:41】
こんにちは♪
女子高生かぁ・・・あの独特のしゃべり方を耳に
すると少しばかりイラッ!とするかな・・・・

ことわざ語源研究会ですか、面白そうだね!
afoolさんが仰るように元は中国ってのが殆ど
みたいですねぇ~!
でも、中には不明なんてのもあるから面白いよネ!

クーピー URL 2009/10/06(Tue)12:59:50 編集
Re:こんにちは♪
面白いですよね、ことわざとか、語源って(^^)
調べてみると意外なものが出てきたり。
巽(たつみ)【2009/10/06 21:42】
無題
どもども!
あれがコレになったんだw
ってか、最後の最後まで何の同好会なのか分からなかったけど…まさか「ことわざ語源研究会」っすか!(爆)
そんな同好会を作ろうとするヤツもどうかと思うし、部に昇格したからって入部を検討するヤツもどうなんでしょうねw
猫バカ1番 URL 2009/10/06(Tue)21:01:42 編集
Re:無題
ことわざ語源研究会、如何っすか~?(笑)
京は元々こういうの好きだろうなぁ。
そう言えば最近、張り紙してないや(笑)
巽(たつみ)【2009/10/06 21:44】
こんばんは
ことわざ…面白いのも有りそうだけど、同好会やら部まで…京君、ますます煩くなりそう(笑)


女子生徒、ことわざを思い出せなかったけど、賢いね。
私は、その諺自体知らなかったよ(笑)
冬猫 2009/10/06(Tue)21:27:22 編集
Re:こんばんは
瓜田に靴を入れず、李下に冠を正さず――何れも疑われる様な事はしない方がいい、という意味ですが……彼女等の場合は「だって、めんどいしー」が先に立った様です(笑)
巽(たつみ)【2009/10/06 21:48】
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