〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
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階段を下へ下へと降りる夢――小さい頃からそれは私に付き纏っていた。
風景はいつも同じ、暗い石の壁に囲まれた、大人二人が並ぶのがやっと位の幅の、石造りの階段。上を見ても、下を見ても、その光景がずぅっと続いている。あるいは夢を見始めた幼い頃には上が見えていたのかも知れないが、最早その記憶は定かでない。
そんな幼い頃から見始めた夢だから断言は出来ないけれど、その階段や建物自体に覚えは無い筈だ。私が育ったアパートの、錆の浮いた鉄階段とは似ても似つかないし、あんなに暗く、そして重苦しい空気を纏った建物など、私は知らない。
そんな夢の中で、私は只管、下を目指して歩くのだ。
衣服に足を取られつつも一段毎に後ろ向きになり、殆ど全身を使って降りていた小さな頃から、両手を伸ばせば壁に手が届く様になった今――節目となる二十歳の誕生日を近々迎える、現在迄。
これ程続く夢には何か意味があるのだろうか?
神秘的なものにかぶれている訳ではないが、こうも続くとやはり某かのメッセージをそこに求めてしまう。
隠された記憶なのか? 何ものかからのお告げなのか? それともこれは全て、私の妄想なのか?
解らない儘、私は今夜も階段を降り続ける。
暗闇の中、ぼうっと浮かび上がる様に白い、ウエディングドレスとヴェールを纏って。
この階段に終わりがあるとすれば、もうそろそろではないか。最近私はそんな気がしている。だってもう直ぐ二十歳の誕生日――そしてその日が近付く毎に、私の足は速まっている。丸でそれが待ち切れないかの様に。
けれどこの先に待つのが誰なのか、あるいは何なのか、暗い階段は何も教えてはくれない。只時折、天井さえも見えない闇の中をきいきいと高い声を上げて、小さな獣が飛翔している。私を案内する様に、あるいは私が逃げないか見張る様に、それは時々頭上を旋回しているみたいだ。
大丈夫よ、逃げたりはしないから――いえ、多分、逃げられはしないから。
だって最近は……この闇を透かして私を見詰める、緋い視線を感じるのだもの。昔見た覚えがある様な、けれど知人の誰でもあり得ない視線。
恐らく、人のものではない視線。
だからきっともう直ぐ。
もう直ぐ……白は緋に染まる……。
このドレスも、あの方の白い牙も。
夜明けが二人を分かたなければ。
―了―
何と無く真面目(?)に吸血鬼もの。
二十年待つ……どんだけ執念深いんだとか思ってはいけません。彼等は寿命が違うんです(^^;)
風景はいつも同じ、暗い石の壁に囲まれた、大人二人が並ぶのがやっと位の幅の、石造りの階段。上を見ても、下を見ても、その光景がずぅっと続いている。あるいは夢を見始めた幼い頃には上が見えていたのかも知れないが、最早その記憶は定かでない。
そんな幼い頃から見始めた夢だから断言は出来ないけれど、その階段や建物自体に覚えは無い筈だ。私が育ったアパートの、錆の浮いた鉄階段とは似ても似つかないし、あんなに暗く、そして重苦しい空気を纏った建物など、私は知らない。
そんな夢の中で、私は只管、下を目指して歩くのだ。
衣服に足を取られつつも一段毎に後ろ向きになり、殆ど全身を使って降りていた小さな頃から、両手を伸ばせば壁に手が届く様になった今――節目となる二十歳の誕生日を近々迎える、現在迄。
これ程続く夢には何か意味があるのだろうか?
神秘的なものにかぶれている訳ではないが、こうも続くとやはり某かのメッセージをそこに求めてしまう。
隠された記憶なのか? 何ものかからのお告げなのか? それともこれは全て、私の妄想なのか?
解らない儘、私は今夜も階段を降り続ける。
暗闇の中、ぼうっと浮かび上がる様に白い、ウエディングドレスとヴェールを纏って。
この階段に終わりがあるとすれば、もうそろそろではないか。最近私はそんな気がしている。だってもう直ぐ二十歳の誕生日――そしてその日が近付く毎に、私の足は速まっている。丸でそれが待ち切れないかの様に。
けれどこの先に待つのが誰なのか、あるいは何なのか、暗い階段は何も教えてはくれない。只時折、天井さえも見えない闇の中をきいきいと高い声を上げて、小さな獣が飛翔している。私を案内する様に、あるいは私が逃げないか見張る様に、それは時々頭上を旋回しているみたいだ。
大丈夫よ、逃げたりはしないから――いえ、多分、逃げられはしないから。
だって最近は……この闇を透かして私を見詰める、緋い視線を感じるのだもの。昔見た覚えがある様な、けれど知人の誰でもあり得ない視線。
恐らく、人のものではない視線。
だからきっともう直ぐ。
もう直ぐ……白は緋に染まる……。
このドレスも、あの方の白い牙も。
夜明けが二人を分かたなければ。
―了―
何と無く真面目(?)に吸血鬼もの。
二十年待つ……どんだけ執念深いんだとか思ってはいけません。彼等は寿命が違うんです(^^;)
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Re:無題
そっちを想像しましたか(笑)
狼男じゃ、彼女来てくれるかな?(狼男に失礼)
お疲れなんですから、ゆっくり休んで下さいね~。
狼男じゃ、彼女来てくれるかな?(狼男に失礼)
お疲れなんですから、ゆっくり休んで下さいね~。
Re:こんばんは!
確かに吸血鬼の花嫁と言ったら、美人かも☆
Re:こんばんは
某エーベル氏は逃げられましたが(笑)
こんばんは♪
なるほど20歳になるのを待つわけだよねぇ~!
不老不死になっちゃうんだものね!
吸血鬼の花嫁さんに選ばれてたのネ!
ずっと若いままでいられるのは良いけど、
死ねないってのは結構辛いものがあるよねぇ!
不老不死になっちゃうんだものね!
吸血鬼の花嫁さんに選ばれてたのネ!
ずっと若いままでいられるのは良いけど、
死ねないってのは結構辛いものがあるよねぇ!
Re:こんばんは♪
周りが年取ってもずーっと若い儘♪
但し、恐らくもう陽の下には出られないかと……。
但し、恐らくもう陽の下には出られないかと……。
Re:こんにちは
女性の吸血鬼も居るから人口比は大丈夫(←おい)
Re:お久しぶりです!
おー、お久し振りです! ふわりぃさん(^^)
無事にお引っ越しは済まれましたか? お疲れ様でした。
デグーさん達も元気かな?
無事にお引っ越しは済まれましたか? お疲れ様でした。
デグーさん達も元気かな?