[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
とある殺し屋は擦れ違ったターゲットに振り向き様、ナイフを突き出した。
が、殺気を感じ取ったか、ターゲットは僅かな動きでそれを避け、逆に体勢を崩した殺し屋の首に手刀を打ち込み、倒れたその背に吐き捨てた――「十年早い」と。
別の殺し屋は新入りの店員に化けて珈琲を運んだ。ターゲットが毎朝コーヒーショップでブラックを頼む事はリサーチ済みだった。勿論、今朝運ばれたその苦味には珈琲本来のものでない成分が含まれている。
が、微かな香りの違いで判ったのか、変装に気付かれたのか、ターゲットはそれを飲まずに退席した。
殺し屋は臨時の上司に訝しがられつつ、その処分に困った。
更に別の殺し屋はマンションの高層階から、ターゲット目掛けて植木鉢を落とし、事故に見せ掛けようとした。
が、これまたあっさりと回避された。
「どうすりゃいいんだよ」疲れ切った声で、彼は痛む首を頻りと撫でつつ、仲間に愚痴った。「直接も駄目、毒も駄目、事故に見せ掛けるのも駄目……銃は?」
「止めておきなさい。擦り抜けた弾丸の回収が面倒です。場所も……普通に、どこか人気の無い所に呼び出せるならいいですが……」数日で珈琲の香りの染み付いてしまった男が言う。
「どう呼び出しゃいいんだよ?」幾度も精査したターゲットの行動範囲を書き込んだ地図を更に検めながら、別の男が言う。「あのマンションなら最適だと思ったんだがなぁ……」
既に幾度も検討され、実行された案が再度浮上しては消えて行く。もう何度、一人のターゲット相手に失敗している事だろう。
「十年早い、か」これ迄にも幾度も言われた言葉を、彼は反芻した。「あの身のこなしは、十年じゃ足りない気がするよ」
「弱気ですね。まぁ、私も直接対決で勝てる気はしませんが」
「俺も一度も勝った事、ねぇよ」
「とても倒せると思えないなぁ……」
殺し屋が三人、雁首を揃えつつ、重々しい溜息をついた。
「ま、溜息ついててもしようがない。次の案を練ろう」
「そうですね。ターゲット――我々の師匠には安らかに眠って頂きたいですし」
「ああ。死んだ自覚がないからっていつ迄もウロウロされちゃ、堪ったもんじゃない。祓い師の言ったように死んだと自覚出来る状態で仕留めないと……」
「しかし、手強いなあ」
また、三人の溜息が重なった。
そんな手強くて、生涯現役を宣言していた師匠だけに、受け入れ難かったのだろうか――戦い以外の、病で自分が斃れた事は。
しかし、本当に幽霊に死の自覚を与える事など出来るのか……。
ともあれ、彼等がたった一人のターゲットに手を焼く中、世は平和だった。
―了―
眠い眠い(--)。゜
……頑張れ(笑)
なのぴんの件でブログもする気力もなく(泣
手ごわすぎるターゲットですね!
もうこの世の人でない師匠に
死んだ自覚をさせるのは至難のワザ!
任務を完了できる日がくるのかな>_<
なのぴん、心配ですね(:;)
いつ迄も元気で居て欲しい。