[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一読して更に眉間の皺を深める京の横から覗き込み、やはり僕も眉根を寄せる。確かに、意味不明だ。
寒い、バッグを覗いている幽霊とは――どうかしたら雪が一押しいう訳じゃ入った私好みの自称霊媒師の帰り道、竦めながらアスファルトだけど♪
昨日迄になって私は言って私尋ねたらしい!
「丸で子供の作文か変な猫が適当に打ったみたいじゃないか!」そんな物が高等部の学生寮のロビーに張り出してあるなんてとんでもない、とばかりに京はそれを握り潰そうとした。いつも怒りっぽいけど、今日は一段と機嫌が悪い。
それと言うのも学校で起こった事件の所為だった。
隣のクラスの水野歌子が持って来たブレスレットが紛失したのだ。
勿論、そんな物を学校に持って来る方も悪い。誕生日に親から贈られて来た物だそうだけど、女子寮内で見せびらかしておけば良かったのに、それだけでは飽き足りない程嬉しかったのか、着けて見せたい相手でも居たのか――その辺は本人が泣きじゃくって話にならないので、僕には推測する事しか出来ない。
兎も角、昼休み迄は間違いなくあったと言うのだ。ところがその後の五限目、家庭科の教師は校則に煩いと評判の為、彼女は見付からないように腕輪を教室の自分のバッグにしまってから時間ギリギリに家庭科室に移動した。その間、男子は技術室へと、こちらも移動。
そして教室に忘れ物をした彼女が、時間半ばに取ってくるよう命じられて戻り、バッグを覗いた時にはもう、ブレスレットは無かったと言うのだ。
高価な物ではなかったと言うけれど、寮生活で滅多に会えない親からの贈り物。彼女が取り乱したのも無理は無いと思う。
でも、盗難事件と決め付けたのはどうなのかなぁ、と僕は首を捻った。
然も、その時間女子は彼女以外に教室に戻った者はなく、当然余所の教室をうろついていた不埒者も居なかったという事で、移動前の教室に最後迄残っていた男子三人と、彼女より前に忘れ物に気付いて戻った男子一人に、嫌疑が掛かった。
結局終礼の時間を使って、四人それぞれの事情が聴かれたらしいんだけど、どうも、忘れ物を取りに戻った男子、加賀道夫の旗色が悪い様だ。
他の三人――宮城宗太、民野義則、高野士郎がお互いの行動を証言出来るのに対し、彼だけが単独行動を取っていたのだから、分が悪い。
四人共、否認しているけれど。
只、学校側としても思い違いであって欲しいという願望なのか、申し出てくれればという事なのか、本日は一応解散、という事になったらしい。
だが、その顛末は寮の纏め役たる、京の耳にも入っていて――四人にはより厳しい、事情聴取が待っている予感がする。
そんな訳で普段以上に眉間の皺寄る京は、寮に戻った途端に目に付いたあの意味不明の張り紙に当り散らしたのだった。
ところが、彼が握り潰そうとした紙切れを、横からひょいと攫って行った奴が居た。僕にはそんな恐ろしい真似は出来ない。
「栗栖!」振り返り、その無作法な手の持ち主に気付いた京は唸る。
そこには彼の言う通り、関西弁の同級生、間宮栗栖が紙切れを手に立っていた。
頼むよ、栗栖。これ以上京の機嫌を損ねないでくれ――僕は祈る様な気持ちで二人を見比べた。この二人、決して仲が悪い訳ではないと思うんだけど……何故か、京の彼に対する基本姿勢は攻撃的だ。
「京、また一段と眉間の皺が……えらい事なってるで?」涼しい顔で言ってくれる。
だからそういう事を言うな! 栗栖!
「余計なお世話だ!」ほら、攻撃性が増した。「一応訊くが、それは君が書いたのか?」
より正確に言うなら「君が打ったのか」だ。パソコンで打ち出したものらしく、殆ど特徴の無い、見慣れた明朝体の文字が並んでいるのだから。
栗栖は首を横に振った。誰が貼ったのかも知らないと言う。
「なら、黙っていてくれないか?」
「せやけど、何や面白そうやないか。学校でも事件があったそうやし」
「面白がるな!」学校の件に関しては、僕も同意見だよ、京。
「けど、これ、何や暗号みたいやないか?」
『……何処をどう読んだら?』思わず京と一緒に突っ込んでしまった。
ステレオでツッコミ入れられた、と何故か栗栖は爆笑している。
「突っ込みと言うより、素直に訊きたいんだけど……」僕は呆れながらも口を挟んだ。「これ、暗号に見える訳? だとしたら、どう読むのさ?」
と、栗栖は暫し真剣に紙切れと睨めっこを始めた。挙げ句、ロビーのソファに腰を落ち着け、ペン迄出して何やら書き込んでは一人、頷いている。
真逆、本当に暗号が……?
呆れ果てた顔をした京が行ってしまおうとした頃、栗栖はやおら腰を上げ、何やら書き足された紙切れを僕達の前に広げた。
「暗号とやらは解けたのか?」冷ややかに、京が問う。
尤も、同じ血どころか遺伝子を分けた僕には解る。一見冷ややかだけど、彼が少し、わくわくしている事が。僕だってそうだから。
それが解っているのかいないのか、栗栖はのんびりと解説を始めた。
「ほな、先ずこの意味不明の怪文書を平仮名に直してみよか」そう言って、元の文の下に書き足した平仮名だらけの文を示す。
さむい、ばっぐをのぞいているゆうれいとは――どうかしたらゆきがいちおしいうわけじゃ入ったわたしごのみのじしょうれいばいしのかえりみち、すくめながらあすふぁるとだけど♪
きのうまでになってわたしはいってわたしたずねたらしい!
「やっぱり意味不明じゃないか」京がぼやく。
「ほな、最初の『寒い』を数字に置き換えてみよか」気にした風も無く、栗栖は言った。
寒いを数字に?――栗栖は「さむい」の下に「361」と書き添えた。
「そんで『どうかしたら……』の所から、3文字目、6文字目、1文字目の順に拾うていく」それぞれに該当する文字にアンダーラインを引きながら、栗栖はとても愉しそうだ。「そないするとやな……」
さむい、ばっぐをのぞいているゆうれいとは――どうかしたらゆきがいちおしいうわけじゃはいったわたしごのみのじしょうれいばいしのかえりみち、すくめながらあすふぁるとだけど
きのうまでになってわたしはいってわたしたずねたらしい
「更にそこだけ繋いでみるで」言って、それを更に下に書いていく。
すると、こんな文が浮かび上がった。
『かがいしゃはたみのよしのり ながすけど うてわはしたた』
やっぱり不自然さはあるけど、僕達はその中に幾つかの意味を見出していた。
加害者、民野義則……。
「民野……」京が呻く。「犯人は民野だと言うのか?」
「後のは……?」僕が後の文を指して訊く。
「情報を流すけど……ちゅう意味やないかな?」と、栗栖。「そして腕輪は……」
京が乱暴に張り紙を剥がした跡のある壁に向かい、観葉植物の鉢を探る。
「下だ」言って振り返った栗栖の手には、女性物のブレスレットが乗っていた。
結局、京の――やはり先生よりも厳しかった――尋問によると、宮城、高野の二人は民野に口止めされていたらしい。民野だって別にブレスレットが欲しかった訳じゃあない。ほんの、悪戯心だったそうだ。
高校生にもなって!――と京が憤慨していた。彼程怒りっぽくない心算の僕も、これに関しては同感だ。
おまけに騒ぎが大きくなって、言い出すに言い出せなくなり、ブレスレットを観葉植物の鉢に隠し、あわよくば誰か――スケープゴートとしては加賀が当確だろう――に罪をなすり付けようとしたと言うんだから、質が悪い。尤も、そう思ったからこそ、民野以外の二人のどちらかが結局裏切りの張り紙をしたのだろうけど。それがどちらだったのかは――京も栗栖の一言に、特定を免じたらしい。
「主犯は民野やとしても、宮城、高野も共犯。おまけに仮にも共犯裏切ったんや。然も態々こんな暗号拵えて。色んな方面で良心疼いてるんやろ。ま、ブレスは見付かったんやし、裏切り迄は責めんといたろやないか」
―了―
ちょい復活したので書いてみた。かなり無理やり感あり(笑)
皆様ご心配有難うございましたm(_ _)m
お陰様で風邪症状も落ち着いてきたみたいです。未だ鼻がぐずぐずいってますが(苦笑)
なんちゃって。
具合はどうですか?
あんまり無理しちゃだめですよ?
暗号とか考えてたら、頭が痛くなりそうだよね(@_@)
裏切った子、頭悩ましたんだろうな~(^_^;)
薬が効いたのか大分鼻はよくなったっぽいです。
さっき寝る前にって貰った薬飲んだので、早く寝よう(笑)
色々な意味で悩んだでしょうね~(^^;)
栗栖君、この儘探偵役になってしまうのか!?(笑)
…というか、もっとゆっくり休んでたほうが良くはない?逆に心配になってくるですよ。
あんまり早々に、元気に復活しはったら、夏か秋のお芝居第三弾、無理にでも大阪にお連れしたくなってしまうよう(苦笑)
栗栖君は相変わらず美味しいとこ持ってってるけど、今回は京クン可愛い♪あれ?(笑)
今日も早く寝る予定……あれ? 日付変わってる(笑)
熱が上がらないので、その分頭は楽な気はするけど、代わりに治りが遅いのよね……(--;)
寧ろ、風邪ひきで何やってんだ、私は(笑)
巽さん凄すぎます!
普通は、何も考えられなくなってボ~としちゃうのに!
軽い気持でやった事が、思わぬ大事に発展してしまうって事ありますねぇ!
さぞかし肝が冷えたでしょうね!
でも、無事に見つかって何とか穏便に決着がつきそうで良かった!
ところで、無理は禁物ですよぉ!
暖かくして、ゆっくり休んでくださいね。
熱が上がらない所為か頭は昨日――もう一昨日か――程はぼーっとしてないけど、早めに寝ます~。
少し復活して参りました。
ぴぴさんも風邪には気を付けて下さいね^^
なんか向いてないのかそれとも暗号まがいの計算式ばかり見ているからなのか…
解いてくれる人がいるならばとりあえず納得してしまう私でした(笑)
お風邪召しているのにお疲れ様でした。
楽しませて貰いました♪
追伸;くりすっていう名前の出来の悪い生徒を思い出してしまう私は。。。職業病です(笑)
って、居るんですか!? くりす!!(笑)
計算式の方が私にとっては超難解な暗号です(^^;)
はう~、出来の悪い生徒かも(笑)
「さて、問題?の暗号文ですが、単語をあぶり
だしました(かなり苦しくかつ痛いですが)
巽版仮名文字を(入も♪もそのまま)
10桁に並べてみます。
さむい、ばっぐをのぞ
いているゆうれいとは
――どうかしたらゆき
がいちおしいうわけじ
ゃ入ったわたしごのみ
のじしょうれいばいし
のかえりみち、すくめ
ながらあすふぁるとだ
けど♪きのうまでにな
ってわたしはいってわ
たしたずねたらしい!
右端5行目縦に、
みしめだなわ!→みじめだなわ、か?
7行5列から縦に、
みすのしね→水野死ね、か?
動機はというと、
4行4列から縦に、
おたょりあきたず→お便り飽きた、か?」
うーん、教授、深読みだなあ。
特に7行5列目!(汗)
そんな真意が隠れていようとは!?(爆)
天野教授、深読みし過ぎです(笑)
丑三つ時に怪しい念波が……!!(笑)
嘘嘘(笑)有難うございます。
姐さんも早く寝てね~。
巽さん、こんなに大変なのひねりだすなんて~
まさか、知恵熱じゃないですよね(^^)
少年たち~!悪いことは一人でやりなさい。
共犯は作っちゃいけませんです。
・・・って私は諸先輩達から教えられたけどな。
京君たら「変な猫が適当に打ったみたい」って・・
あれだけ打てたら、めっさ優秀な猫さんですよん!
熱は余り上がらないんですけどね~。鼻と喉が~★
かめちゃんもその内、真似して書くかも♪
夜霧の投稿、何とか意味が繋がるようにしようと思ったら、更に訳の解らない事になってしまいました(苦笑)
夜霧ちゃんお言葉は暗号になったのですね!
すごいなぁ。
お風邪早く治るといいですね。
夜霧ちゃんに「ふわりぃだ!」って初めて
言われました♪嬉しいな♪
夜霧のまさに怪文書(笑)
何とか意味を拾える様にしてみました(^^;)
風邪は薬が効いてるのか、鼻は治まりつつ……副作用かちょっとぼーっとしてる(笑)
でも大分よくなったみたいです^^