〈2007年9月16日開設〉
これ迄の小説等、纏めてみたいかと思います。主にミステリー系です。
尚、文責・著作権は、巽にあります。無断転載等はお断り致します(する程のものも無いですが)。
絵師様が描いて下さった絵に関しましても、著作権はそれぞれの絵師様に帰属します。無断転載は禁止です。
Admin
Link
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
白、黒、白、黒……。
道路に描かれたゼブラ模様を、僕は見るともなしに眺めていた。
白、黒、白、黒……。
幼い頃は白い所だけ、あるいは黒い所だけを、小さな歩幅を精一杯迄伸ばして、選んで歩いたものだ。大した意味もない、他愛もない事が、その頃は楽しかった。
そう、どんな所でも、子供にとっては遊び場同然なんだ。
ほら、視界の中ではまたどこかの子供が母親に手を引かれつつも、危ういバランスで脚を伸ばしている。
でも、遊んでいい場所、悪い場所。それらがある事を両親や周りの人から教わって、段々遊び場は減って行った。
あの頃は――。
信号が点滅するのにも気付かずに、横断歩道の白地だけに気を取られてのろのろ歩いていたら、通りすがりのおじさんに「ほら、急げ急げ!」と発破を掛けられた。余計なお世話と思いつつ顔を上げてみると、直ぐ横を歩いていた筈の母との距離がいつの間にか開いていて、慌てた。母も気付いて呼ぶ声に、僕は最早白も黒も関係なく、駆け足で追ったものだった。
線路脇は石がごろごろしていて、それを積み上げたり、蹴飛ばして友達と競争するのが楽しかった。危険だから入ってはいけないと、線路際に住むお婆さんにこっ酷く怒られた。両親にも告げ口されたと、当時は恨んだものだったが……数日後、丸で当て付ける様に相も変わらず線路際で遊んでいた友達が危うく電車に撥ねられそうになった。幸い、彼は腰を抜かしただけで済んだけれど、構内に子供の姿を認めた運転士によって電車は停められ、大騒ぎになったものだ。以来、勿論彼も立ち入らなくなった。
工事途中の資材置き場は珍しい物が一杯で、僕達は出入りする大人達の目を盗んで――そのスリルさえも楽しみの一つだった――土管に潜り込んだり、積み上げられたセメント袋に登ったり、砂利の山に登っては崩れる小石の上でバランスを取って滑り降りる、そんなアスレチックを楽しんでいた。これもある日、出入りしているおじさんに見付かってどやされた。どれも一時的に置いてある物で、安全を考慮してはいるが長期用に固定してある訳でもない。砂利山など一度崩れ出したら、子供など飲まれてしまうと散々脅された。
尤も、それ迄にも一度や二度、危ないと思った事はあったのだ。その一瞬の危機感は、直ぐに妙にテンションの高い笑いへと取って代わられてしまったけれど。精神的緊張と弛緩。そんな事も解らなかった僕達には笑いは只、楽しみとしか映らなかった。だから言われる迄、止めなかった。
あるいは廃ビル、あるいは季節外れのプールサイド、あるいは棚の林立する店の中……。思えばどんな所でも、はしゃぎ回っていた気がする。そして、怒られてはやってはいけない事を覚えていった。危険だから、他人の迷惑だから、何より子供達の為にならないからと、大人達は叱ってくれた。
今は僕が大人になった。
そして時代も変わった。
例え近所の子供でも声を掛け辛いなんて、変な世の中だ。あの時のおじさんやお婆さんなんて、名前も知らなければ、近所の人でさえなかった。なのに、僕達を止めてくれた。
今度は僕が――そう、僕は勇気を奮い起こした。
なのに、あの時の僕の様な子供に声を掛けただけで、何故母親から睨まれなければならないのか?
僕は首を傾げて、白と黒の道と、白黒はっきりしない世界を往来するばかりだった。
―了―
何となく横断歩道が浮かんだので(意味不明)
線路脇は石がごろごろしていて、それを積み上げたり、蹴飛ばして友達と競争するのが楽しかった。危険だから入ってはいけないと、線路際に住むお婆さんにこっ酷く怒られた。両親にも告げ口されたと、当時は恨んだものだったが……数日後、丸で当て付ける様に相も変わらず線路際で遊んでいた友達が危うく電車に撥ねられそうになった。幸い、彼は腰を抜かしただけで済んだけれど、構内に子供の姿を認めた運転士によって電車は停められ、大騒ぎになったものだ。以来、勿論彼も立ち入らなくなった。
工事途中の資材置き場は珍しい物が一杯で、僕達は出入りする大人達の目を盗んで――そのスリルさえも楽しみの一つだった――土管に潜り込んだり、積み上げられたセメント袋に登ったり、砂利の山に登っては崩れる小石の上でバランスを取って滑り降りる、そんなアスレチックを楽しんでいた。これもある日、出入りしているおじさんに見付かってどやされた。どれも一時的に置いてある物で、安全を考慮してはいるが長期用に固定してある訳でもない。砂利山など一度崩れ出したら、子供など飲まれてしまうと散々脅された。
尤も、それ迄にも一度や二度、危ないと思った事はあったのだ。その一瞬の危機感は、直ぐに妙にテンションの高い笑いへと取って代わられてしまったけれど。精神的緊張と弛緩。そんな事も解らなかった僕達には笑いは只、楽しみとしか映らなかった。だから言われる迄、止めなかった。
あるいは廃ビル、あるいは季節外れのプールサイド、あるいは棚の林立する店の中……。思えばどんな所でも、はしゃぎ回っていた気がする。そして、怒られてはやってはいけない事を覚えていった。危険だから、他人の迷惑だから、何より子供達の為にならないからと、大人達は叱ってくれた。
今は僕が大人になった。
そして時代も変わった。
例え近所の子供でも声を掛け辛いなんて、変な世の中だ。あの時のおじさんやお婆さんなんて、名前も知らなければ、近所の人でさえなかった。なのに、僕達を止めてくれた。
今度は僕が――そう、僕は勇気を奮い起こした。
なのに、あの時の僕の様な子供に声を掛けただけで、何故母親から睨まれなければならないのか?
僕は首を傾げて、白と黒の道と、白黒はっきりしない世界を往来するばかりだった。
―了―
何となく横断歩道が浮かんだので(意味不明)
PR
この記事にコメントする
こんばんは
見知らぬ子供でも、堂々と叱ってくれた。
私らの子供時代は、良い時代だったよね~
今の子供を叱るのは…
叱りましょうというコマーシャルは有るけど(←これもどうなんだと思う。笑)、親世代がアホやから難しいよね(m_m)
私らの子供時代は、良い時代だったよね~
今の子供を叱るのは…
叱りましょうというコマーシャルは有るけど(←これもどうなんだと思う。笑)、親世代がアホやから難しいよね(m_m)
Re:こんばんは
うんうん(゜゜)(。。)
他人子供を叱るのって、元から勇気の要る事だったろうとは思うけど、今は声を掛けるのさえ……ねぇ(--;)
子供が馬鹿やって叱られてるのに、相手に食って掛かる親って一体……?
他人子供を叱るのって、元から勇気の要る事だったろうとは思うけど、今は声を掛けるのさえ……ねぇ(--;)
子供が馬鹿やって叱られてるのに、相手に食って掛かる親って一体……?
Re:こんばんは♪
子供が騒いでても注意しないとかねー、親が馬鹿だと子供も……(--メ)
のびのび育てるのと、他人の迷惑顧みず好き勝手にさせるのとは天地の差じゃ!
のびのび育てるのと、他人の迷惑顧みず好き勝手にさせるのとは天地の差じゃ!
Re:こんばんは☆
ガキ大将は高い所に登るのが好き(←違うか・笑)
今はこういう子は居ないかも知れないけど……人が大勢居る場所で奇声を上げて騒ぐ、駆け回る、挙句にはローラーシューズ! なんてお馬鹿も居ますからねぇ(--メ)
ガキ大将の方が可愛げがある!?
今はこういう子は居ないかも知れないけど……人が大勢居る場所で奇声を上げて騒ぐ、駆け回る、挙句にはローラーシューズ! なんてお馬鹿も居ますからねぇ(--メ)
ガキ大将の方が可愛げがある!?
Re:きのう夜霧が、白
意味不明なので、その辺白黒はっきりさせて下さい(--;)
Re:こんばんわ~
ねぇ~(´・ω・`)
親が子供みたいなんですもん★
親が子供みたいなんですもん★
おはよ~
いや~、叱ること自体が難しい。
凄く勇気が要る。
前に、ナゴヤドームで椅子を上を土足で走りまわっている、4~5人の子供(小学4~5年生と思われる)が居たんだけど、誰も知らない顔。
で、凄い勇気を出して、「椅子の上を土足で乗っちゃダメだ」って言ったんだけど・・・。
子供の方は、「びっくりした~。なぁ」とか子供同士で相槌打ちあってるだけで・・・、周りの人も素知らぬ顔。
こっちの方が浮いた様になっちゃって、結局、自由席だったから、席を替わったよ~。(T_T)
こういうことがあると尚更、次から叱れなくなる。(-_-;)
凄く勇気が要る。
前に、ナゴヤドームで椅子を上を土足で走りまわっている、4~5人の子供(小学4~5年生と思われる)が居たんだけど、誰も知らない顔。
で、凄い勇気を出して、「椅子の上を土足で乗っちゃダメだ」って言ったんだけど・・・。
子供の方は、「びっくりした~。なぁ」とか子供同士で相槌打ちあってるだけで・・・、周りの人も素知らぬ顔。
こっちの方が浮いた様になっちゃって、結局、自由席だったから、席を替わったよ~。(T_T)
こういうことがあると尚更、次から叱れなくなる。(-_-;)
Re:おはよ~
それは……確かに凄い勇気要りますよね(>_<)
子供も叱られてもけろっとしてるもんなぁ(汗)
付き添いの大人とか居たんでしょうに、最低限の躾も出来てないのか(--メ)
後、親とか居ても直接的に叱らずに「ほら、○○さんに怒られるよ」とか、他人に転嫁するのは何故なんでしょうね?
子供も叱られてもけろっとしてるもんなぁ(汗)
付き添いの大人とか居たんでしょうに、最低限の躾も出来てないのか(--メ)
後、親とか居ても直接的に叱らずに「ほら、○○さんに怒られるよ」とか、他人に転嫁するのは何故なんでしょうね?